2022 Fiscal Year Annual Research Report
Various Practices of Intellectuals, Governments, and Successors Concerning Intangible Cultural Heritage :A Case Study of Woter Floating Residents in Guangdong Province
Project/Area Number |
17K13589
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
稲澤 努 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30632228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 無形民俗文化財 / 水上居民 / エスニシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍以降中国への入国が思うようにできず、現地調査を再開することはできなかった。最終年度には、これまでに収集したデータの一部を使用し「中国における模範的人物の活用―広東省高州における英雄(ニスイ+先);夫人を事例として」と題する発表を行うとともに、論文集に同名の論稿を掲載した。 中国における「非物質文化遺産」(= 無形民俗文化財)をめぐる状況について、中国広東省の汕尾及び高州の元水上居民の民俗文化を対象として、それがどのように資源化され、利用されていくのかを調査・分析してきた。地方政府、地元知識人、そして元水上居民の中の主導的人物がそれぞれに関わりながら、資源化していく様態を調査した。 地方政府は、「非物質文化遺産」を観光資源として対外(ただし、主に国内)的にアピールしようして、水上居民に伝わる歌をアレンジした「漁歌」のステージ披露などを積極的に後押ししている。元水上居民の中の主導的人物は、地方政府と連携を図りながら、政府の意図に併せて、漁歌をはじめとする非物質文化の保全・発展につとめている。実際にステージ上で歌う人々も、SNSなどを利用して自分たちの行動をアピールしており、「漁歌」なるものを広めている。また、そのことにより「漁民」(=元水上居民)であったことへのアイデンティティを強めている側面も観察できた。 ただし、冒頭にも述べた通り、2020年以降現地調査が実施できていないので、SNS上で「漁歌」ステージ上演が行われたことを確認することなどはできても、踏み込んだ調査・分析ができなかった。この点は、今後の課題とし、現地調査ができれば実施し、難しいようであればSNSを含めて非対面でもより質の高いデータを収集する術を確立していきたい。
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Research Products
(1 results)
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[Book] 規範と模範2023
Author(s)
高山 陽子、山口 睦
Total Pages
320
Publisher
風響社
ISBN
978-4-89489-329-0