2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K13593
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Research Institution | Kyoto Junior College of Foreign Languages |
Principal Investigator |
志村 真幸 京都外国語短期大学, キャリア英語科, 非常勤講師 (00625204)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南方熊楠 / ネイチャー / ノーツ・アンド・クエリーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、南方熊楠および他の日本人やアジア人研究者が、19世紀後半~20世紀前半の欧米学術界に、『ネイチャー』誌や『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌などへの投稿を通して、いかに貢献していたかを明らかにすることにある。 そのため、2017年度に南方熊楠顕彰館(和歌山田辺市)、『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌編集部(ロンドン)に現存する南方の英文論文の草稿の整理・撮影を行った。前者では、植物標本等の包み紙を調査し、英文論文草稿と思われるもの十数点および邦文論文草稿、メモ類など計100点ほどを撮影した。後者については、2018年2月~3月の現地調査で1899-1900年の熊楠在英時の原稿った。 今回は未知の論文については発見できなかった。しかし、掲載論文草稿の翻刻によって、草稿の文章と掲載論文には大きく異同があることが確認された。この異同こそが、熊楠のもたらした東洋の知が西洋科学界に受け入れられた/受け入れられなかった境界を示すものと考えられる。今後は撮影分の翻刻と分析にとのくむとともに、とくにロンドンでの調査を継続する。 また、以上とは別に、南方熊楠顕彰館に現存する欧米の研究者からの書簡について、A・S・E・アッカーマンのものについて翻刻と分析を行った。アッカーマンはロンドン在住の技術者であり、熊楠がアッカーマンの著作に協力することについて、主として書簡のやりとりがなされた。これについては近刊『南方熊楠とイギリスの科学(仮題)』に収録予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のとおりに調査を実施できた。 ただし、未掲載論文の草稿については、十分な発見ができていない。『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌旧編集部に残された投稿は、総計で数万点はあるものと推計され、そのなかから熊楠のものを見つけ出すのに想像以上の時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通りに調査・研究を進めていくつもりである。 すでに2018年5月に南方熊楠顕彰館での調査を実施した。さらに今年度は8月、2月に実施の予定である。 ロンドンでの次回調査は2019年2or3月を予定している。編集部の担当者とは昨年度の調査以降も連絡をつづけており、調査方法について、もっと効率的な方法がないか相談している。
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Causes of Carryover |
2018年2~3月に実施したイギリス調査が、当初の予定よりも短期間にせざるをえず、予定額を使うことがなかった。2018年度はその分を長めにロンドン調査に充てるつもりである。
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