2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K13593
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Research Institution | Kyoto Junior College of Foreign Languages |
Principal Investigator |
志村 真幸 京都外国語短期大学, キャリア英語科, 非常勤講師 (00625204)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南方熊楠 / ネイチャー / 植物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、南方熊楠および他の日本人やアジア人研究者が、19世紀後半~20世紀前半の欧米学術界に、『ネイチャー』誌や『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌などへの投稿を通して、いかに貢献していたかを明らかにすることにある。 そのため、2018年度に南方熊楠顕彰館(和歌山田辺市)、『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌編集部(ロンドン)に現存する南方の英文論文の草稿の整理・撮影を行った。 前者では、植物標本等の包み紙を調査し、英文論文草稿と思われるもの8点、およびメモ類など数十点を撮影した。後者については、2019年2月~3月の現地調査で1901-1910年の原稿を扱った。 さらに2018年8月に台湾大学での資料調査を実施した。『ネイチャー』誌等には中国からの投稿も多く、とくに今回は日本統治下での植物学研究に重点を置いた。アジアでの植物学ネットワークの形成と、それがどのように西欧近代の学術世界にとりこまれていったかを明らかにするのが目的であり、台湾大学図書館および校史館にて資料撮影にとりくんだほか、関係者へのインタビューも行った。 ひとくちにアジア人による投稿といっても、『ネイチャー』等には、東洋の伝統的な植物学(本草学)に関する論文と、西欧近代植物学を学んだ東洋人研究者による近代的な論文との両方が掲載されている。熊楠はそのどちらもカバーする存在であり、日本/アジアにおける知の結節点として機能していたことが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のとおりに調査を実施できた。 ただし、『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌旧編集部に残された投稿は、総計で数万点はあるものと推計され、そのなかから熊楠のものを見つけ出すのに想定以上の時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通りに調査・研究を進めていくつもりである。 すでに2019年5月に南方熊楠顕彰館での調査を実施した。さらに今年度は6月、8月に実施の予定である。 台湾大学での調査については、実質する方向で、先方との折衝を続けている。 ロンドンでの次回調査は2019年2or3月を予定している。すでに『ノーツ・アンド・クエリーズ』編集部の担当者とは合意済み。 2019年2月に、研究調査をまとめた『南方熊楠のロンドン』を刊行予定である。
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Research Products
(6 results)