2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Role of Residential Communities in Local Government: A Comparative Study
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17K13599
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
板持 研吾 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20632227)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英米法 / 比較法 / 住宅 / 物権 / 団体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、前年度から引き続きイギリスでの在外研究を継続し、日英米の比較という本研究の目的のうち、イギリス法に関する部分に特に注力することが目指された。もっとも、2019年度末からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行の最先端の一角をイギリスは担うことになってしまい、年度内のほとんどの時期はいわゆる「ロックダウン」下で過ごすこととなり、滞在先のオックスフォード大学の施設もほぼ閉鎖された。そのような中でフィールドワークを行うことは実際上不可能となったので、当初の計画と異なって文献中心の研究スタイルに切り替えて調査を続行し、イギリスの法制度を、運用実態よりは制度のあらましや導入目的ならびに現状課題とされていることなどに着目して、明らかにした。 具体的には、日本でいう「マンション」などの集合住宅における団体規律を特に検討した。イギリスでは伝統的にリースホールドと呼ばれる契約上の賃借権に類似した(しかし物権とされる)権利の保有によってこれを実現してきた伝統がある。分譲ユニットの所有者の変更があった場合にも修繕や共益費拠出などの負担を新所有者にも課すための法技術的な問題からこのような必要もあるためであるが、それ以外の目的では不都合な点もあり、コモンホールドという新たな制度が21世紀初めに導入された。しかしこれは充分な成果を挙げておらず、さらなる改革の必要が提唱されている。 なお、本研究課題を期間延長してフィールドワーク等に及ぶことも検討したものの、少なくとも2021年度前半にコロナ禍を完全に脱するとの見込みは皆無であったことなどから、当初の計画からすれば不充分であることは承知しつつ、上記のような研究手法の変更を行って取りまとめに向かうこととした。コロナ禍における在外研究および帰国には大きな負担が生じてしまったため、成果の取りまとめおよび公表は今後の課題として残されている。
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