2018 Fiscal Year Research-status Report
法令の経過規定に関する基礎理論及び立法指針の比較法的研究
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17K13604
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
齋藤 健一郎 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (60756881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経過規定 / 経過措置 / 時際法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度においては、「時際法論の体系―ポール・ルビエの時際法論を中心として」商学討究 69(2・3)、p. 217-270、2018年12月を公表した。この論文では、経過規定の問題も深く関わる時際法論に関する、フランスで支配的な理論モデルについて詳細に詳細をするとともに、日本法への示唆について検討を行った。ここで時際法とは、法律の時間的な適用関係や、新法と旧法との時間的な抵触を解決するための法分野である。結論として、フランスの理論モデルには普遍性があり、日本法の整理・類型化や理解にとっても有意義であると考え、この理論モデルに沿って、日本の裁判例を整理することを試みた。 また、現時点で投稿済みだが公表前のものとして、「時際法の判例(平成27年から平成29年)」商学討究70(1)を執筆した。この論文では、日本の裁判例のうち、時際法や経過規定が争点となったり、争点に関連しているものを調査・抽出し、紹介と若干の検討を行った。行政法にとどまらず、刑法・民法・保険法・社会保障法など様々な分野を横断的に調査しつつも、時際法・経過規定に関する裁判例をまとめて示すことで、この問題の意義や、昨今の実際上の論点を示すことができたと思われる。 経過規定それ自体については、2018年度から調査・分析を継続中のものとして、行政分野の個別法のうち、建築基準法など幾つかの法律を取り上げて、改正時の経過規定を網羅的に整理し、類型化する作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、ポール・ルビエの理論について詳細な分析を行い、論文を公表した。2018年度は、カーン学派の理論についても分析を予定していたが、これに換えて、日本法の経過規定の整理・分析・類型化を昨年度から継続して行った。そして、その成果の一部については、裁判例の紹介という形で、論文を執筆・公表した。これらの点で、本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の今年度においては、フランス法との比較検討をしつつ、日本法の経過規定に関する批判的検討を試みる。その上で、日本の立法実務の問題点の解決に向けて、法令の時間的適用範囲に関する分析・検討枠組みの構築を試みることとする。
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Causes of Carryover |
今年度にフランスにて文献調査を行うための出張を予定していたが、個人的な事情により急遽キャンセルとなってしまい、大幅に次年度使用額が発生した。この分は、次年度において、計画的に使用することとしたい。研究スケジュールを勘案しつつ、可能であれば、次年度にフランスにて文献調査を行いたいと考えている。
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Research Products
(1 results)