2021 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between Judicial Power and Civil Provisional Remedies and Civil Execution - From the Viewpoint of the Separation of Powers Theory
Project/Area Number |
17K13605
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
御幸 聖樹 同志社大学, 司法研究科, 教授 (20634009)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 司法権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、司法権という概念が紛争の観念的解決を図ることに尽きるのか(訴訟手続)、それとも当事者の権利義務・法的地位が事実上実現されることまでをも含んでいるのか(執行手続)を整理・分析するものであるところ、司法権の概念を理解するうえで関連するアミカス(amicus curiae)についての研究報告を行うとともに、その成果物として論文を発表した。そこでは、これまでの研究を踏まえつつ、アメリカの連邦最高裁ではアミカスの利用は近時増大しているものの、連邦最高裁や一部の連邦議会議員の間にはその利用に対する慎重な姿勢も見られることを明らかにした。ともあれ、アミカスの利用の増大の背景には、権利を語り紛争の観念的解決を図るだけではなく、法的強制力のあるルールに還元しがたい複雑な技術的・実際的問題を裁判所が認識しようとする意欲を感じさせる。そして、そのような意欲は、当事者の権利義務・法的地位の実現(救済)のあり方に関わるものでもある。 また、独立行政委員会に関するアメリカ連邦最高裁の判例法理の変遷について研究報告を行った。本研究との関係では、国家作用(立法作用・行政作用・司法作用)の整理・分析はそれ自体として曖昧なものとなりかねないことを示す好例といえる。すなわち、独立行政委員会について、かつてのアメリカ連邦最高裁の判例では準立法作用・準司法作用などという整理・分析がなされていたが、そのような説明は現在では判例も学説上も基本的に採用していない。このことは、例えば執行手続について「司法作用」や「行政作用」のどちらに当たるかといった整理・分析を行うに際しても、重要なのはレッテルそれ自体ではなく、どの機関に適した作用であるかという視点こそが求められることを示唆している。
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