2019 Fiscal Year Research-status Report
移住者の信教の自由への配慮と規制をめぐる比較憲法的考察
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17K13608
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西山 千絵 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (20633506)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 信教の自由 / 多文化共生社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は、本来は研究期間の最後となる3年目であったが、母の介護休暇を取得して、本研究が事実上数ヶ月にわたって中断せざる得なかったため、期間の延長を申請し、令和2年度における4年目の研究が認められたところである。 昨年は、いわゆるニューカマーの自由な宗教選択と多文化共生社会への関心から、地方自治体による、特定可能な信仰・宗教を反映した地域密着型の宗教的団体への支出、公有地上における宗教的行事の実施の容認とその公共的意義付け(観光、文化、歴史的価値等)の可否について検討する機会を多く得た。研究の目的に照らしたときに、これらの問題は本研究がもっぱら信教の自由の問題として捉えていたものとはずれるが、しかし、公的空間における宗教的活動の宗教的色彩の濃淡は、多文化共生社会における宗教の共存と信教の自由保障の観点から、あわせて取り上げなければならない問題と考える。 これと並行して、外国における移民の宗教的自由(宗教的行為の自由)に関する文献の収集と整理を行った。研究の再開後は、多文化家族に関して法政策・法制度の異なるフィリピンと韓国の研究を進め、キリスト教の系譜を共有する場合の例と、キリスト教の系譜に属さない、地域的宗教や新興宗教の例との異同について検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成31年度は家族の介護により、研究を中断する時期があった。本研究の助成を受けて研究会で2回の報告を行い、本研究による成果を2件発表したが、研究期間の延長を申請するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナム、フィリピン、韓国の法政策・法制度に関する調査を進めているところであるが、移民の送出国と受入国との対比での研究が十分に進んでいない。そこで、受入国としての側面から韓国の調査をさらに進めて、本研究の目的への到達をはかりたい。本年後期からは、各国のニューカマーの布教活動への規制例の分析を通じて、その特徴的な規制の仕組みと目的を明らかにし、信教の自由への規制として一般化できる要素、一般化されない要素を拾い上げていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
母の介護休暇取得のため、研究を数ヶ月中断することとなり、当初の計画された執行を着実に行うことができなかった。また、消耗品費の支出を抑えたことから、その分の費用が発生しなかった。 それにより生じた未使用額は、令和2年度において研究成果を取りまとめる際に必要となる文献や音声文字起こし入力等のアルバイトの費用、成果報告のための出張費用に充てることを予定している。成果報告が今年はオンラインにより行われる可能性があり、その場合は、オンライン向けの資料作成にかかる消耗品費の支出に充てることとする。
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Research Products
(3 results)