2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13620
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
石塚 智佐 東洋大学, 法学部, 准教授 (30614705)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際司法裁判所 / 管轄権 / 裁判条項 / ジェノサイド条約 / 国際刑事裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年多様な紛争が国際司法裁判所(ICJ)に付託されていることに鑑みて、これら事件における管轄権基礎と請求内容の関係について研究することを目的とする。2 つの関係を検討することにより、国家はどこまで多様にICJ を利用することができるのか、それに対してICJ はコントロールすることが可能なのか、実証的研究を試みる。 本年度は、ウィーン領事関係条約という多数国間条約の裁判条項に基づき付託されたジャダヴ事件(インド対パキスタン)において、管轄権基礎と請求内容の関係が論点となったこともあり、こちらの検討を行い、判例評釈を公表した。また、ミャンマーのロヒンギャ問題に関して、直接利害関係を有しないアフリカのガンビアがジェノサイド条約違反を理由に12月にICJに訴えを提起した。今後の裁判の動向に関して新聞社のインタビューに応じたほか、2020年度に公表される論文の中で研究成果を盛り込んだ。当該論文は、同一紛争を扱う可能性のある国際刑事裁判所(ICC)との関係について管轄権基礎に着目して2018年度に研究成果をすでに公表していたが、本件以外にも最近の実行を盛り込み加筆修正したものである。 さらに、現在進行中の研究として、上記ジェノサイド条約や人権条約の裁判条項に基づき付託される事件について、その裁判条項の内容と付託される紛争の実体に着目しながら、分析を進めている。特に人種差別撤廃条約の裁判条項に基づきICJに付託される事件が増えており、人種差別撤廃員会との関係も含めてこの問題を検討したい。これらの研究成果の一部は次年度に公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に10カ月の休職期間があり、研究の蓄積が少なかったこともあり、今年度の当初の目的を十分に達成することはできず、これまでの進捗状況も計画通りとは言えない。それでも、本研究に関わるICJの最新の判例の分析をすぐに行い、成果を公表、あるいは公表の目途が立っているという点で、一定程度の研究を進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初は2019年度で研究期間が終了となる予定であったが、2018年度に10か月の休職期間があったため、2020年度も引き続き本研究を続けることとなった。2020年度も一定期間の休職を予定しているため、どこまで順調に研究を進められるか現段階では定かではないが、2019年度から引き続き行っている研究については成果を公表できるよう準備を進める。また、ICJの最新の判例の動向に着目しつつ、積極的に国内外に研究成果を公表することで、本研究の研究目的を遂行できるよう努めたい。
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Causes of Carryover |
2018年度に休職期間があり、補助事業期間を一年延長したため。研究遂行に不可欠な書籍・物品購入を中心に使用する。
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Remarks |
「組織的なレイプや殺人」全否定 スーチー氏の法廷戦略(インタビュー掲載)、朝日新聞デジタル2019年12月22日17時00分。
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Research Products
(1 results)