2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K13620
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
石塚 智佐 東洋大学, 法学部, 准教授 (30614705)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際司法裁判所 / 管轄権 / 裁判条項 / 国家通報制度 / 人権条約 / ジェノサイド条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度の研究成果の公表のための作業を行いつつ、昨年度から引き続き、主に人権条約の紛争解決条項(裁判条項)に基づく国際司法裁判所(ICJ)の利用について研究を進めた。2018年に人種差別撤廃条約の国家通報制度が、国連人権条約において初めて利用されたが、ICJにおいても、現在は人種差別撤廃条約をはじめとする人権条約に基づき付託される事件が増えている。従来、人権条約の紛争解決制度としては個人対国家に関するものが中心的であったが、このような状況に鑑みて、様々な国連人権条約における国家間紛争解決制度(国家通報、国家間裁判等)の起草過程や仕組み、具体的に利用された事件を分析し、当該紛争の平和的解決へのこれら制度の貢献について検討した。また、比較対象として、欧州・米州・アフリカという地域的人権条約の制度や実行も検討することで、より多様な観点から人権条約における国家間紛争解決制度の意義、特にICJの役割を分析することができた。この研究成果の一部については、次年度に公表するための最終段階にある。 また、年度末には、ロシアの軍事侵攻に関して、ウクライナがジェノサイド条約に基づきICJに提訴したが、本件は従来のジェノサイド条約に基づく付託事件とは異なる請求内容であった。まだ暫定措置命令が下された段階ではあるが、非常に社会的関心の高い事件であるため、現在公開されている資料を中心に、ICJはジェノサイド条約に基づきどこまで管轄権を行使できるのか必要な検討を行い、次年度に研究成果を公表したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに断続的に研究中断期間があり、また今年度後半は継続して体調不良だったこともあり、当初の目的を十分に達成できたとはいえない。それでも、本研究に関わるICJ判例や比較対象としての地域的人権裁判所の判例の分析を行い、成果を公表する目途が立っているという点で、一定程度の研究を進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初は2019年度で研究期間が終了となる予定であったが、2018年度、2020年度と研究中断期間があり、十分に研究計画を進めることができなかったため、2022年度も引き続き本研究を続けることとなった。本年度も研究中断期間を予定しており、今年度の研究の円滑な遂行は難しいかもしれない。しかし、研究再開後も基本的には研究計画書に従って研究を進めつつ、ICJの最新判例に目を配り、必要な論点に関してはいち早く分析を行い積極的に国内外に研究成果を公表することで、本研究の研究目的を遂行できるよう努めたい。特に2022年度は、昨年度に引き続き、人権条約に基づく国家間裁判の活性化に着目し、これらの紛争の概要やICJに付託された事件との比較を検討し、さらに近年のICJの管轄権手続の改正についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究開始以来2回にわたる研究中断期間や2021年度後半の体調不良もあり、次年度使用額が生じた。次年度も、昨今の社会情勢のみならず個人的事情にかんがみ、海外含む出張は基本的に難しいと考えている。したがって、研究遂行に不可欠な書籍・物品購入を中心に使用する予定である。
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