2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13625
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
河野 尚子 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 専任研究員 (10757412)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多様な働き方 / 企業の社会的責任 / テレワーク / 営業秘密 / 守秘義務 / 兼業 / 副業 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、働き方改革をめぐる検討課題の一つとして、「テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方」が掲げられている。特に、技術革新に伴い、テレワークやクラウドワークのように、ICTを活用した新たな働き方の導入の普及は、本業とは別に副業をもつ、パラレルキャリアとしての多様な働き方を容易にする。 そこで、まず、兼業・副業といった柔軟な働き方で、かつ、多様性を重視した働き方を推進するような、企業の自主的な取組みを促す法のあり方について検討を深めた。その上で、兼業・副業を容易にするテレワークのようなICT(情報通信技術)を活用した自律した働き方をめぐる法的課題に取り組んできた。特に、テレワークは、女性活躍推進法に基づく行動計画の選択項目としても掲げられており、女性が、出産、育児、不妊治療、介護等を理由に離職せずに、企業において継続就業を実現することを希望する場合の手段となる。そこで、本年度は女性の職業生活における活躍を可能にするテレワーク(雇用型テレワーク及び自営型テレワーク)の法的課題を中心に検討を行った。 また、兼業・副業を行う労働者は、会社の営業秘密を知りうる立場にある上、兼業・副業先での営業秘密の漏洩リスクが存在するため、企業における営業秘密の保護の強化は必須の課題である。そこで、営業秘密の保護の観点から知的財産法と労働法の関係性を明らかにし、労働法の規律の必要性・重要性という理論的課題について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、多様な働き方をめぐる法的課題のうち、兼業・副業をめぐる法律問題が中心であったが、さらに兼業・副業を容易にするテレワークをめぐる法的研究や、多様な働き方について企業の自主的な取組みを促す法のあり方に関する研究に取り組んできた。本研究の進捗状況としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ICT(情報通信技術)を活用した働き方の普及に伴い、時間的・場所的拘束性の希薄化が生じ、自律的な働き方が可能となる。そこで、雇用ないし自営(非雇用)に関わらず、自律的な働き方として、ICTを活用しながら兼業・副業を行いやすい環境の整備が必要となる。こうした問題について、日本法の議論状況を踏まえ、ドイツ法との比較法的研究を進めていく。そこで、グローバリゼーションに伴う規制緩和や第四次産業革命が兼業規制に与える影響を踏まえた上、兼業・副業を通じた人材育成・キャリア形成、自律的な働き方をめぐる法のあり方に関する発展的な研究のための準備を行いたい。
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