2021 Fiscal Year Annual Research Report
Distinction between mistake of fact and mistake of illegality
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17K13627
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
菅沼 真也子 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (80779695)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 故意 / 錯誤 / 意味の認識 / 詐欺 / 殺意 / 認定 / ベルリンレーサー事件 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究報告を2回、研究論文を3本執筆した。 研究報告:①2021年5月に、中央大学刑事判例研究会にて、 最高裁令和3年1月29日第二小法廷「自動車を運転する予定の者に対し、ひそかに睡眠導入剤を摂取させ運転を仕向けて交通事故を引き起こさせ、事故の相手方に傷害を負わせたという殺人未遂被告事件について、事故の相手方に対する殺意を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に、刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例」について判例研究報告を行なった。 ②2022年2月に、日本刑法学会北海道支部会にて、「ベルリンレーサー事件とドイツにおける近年の故意の認定に関する議論状況」について研究報告を行なった。 研究論文:①「故意にとって必要な「結果発生の可能性の認識」の程度――特殊詐欺における受け子の故意の認定構造と殺意の認定構造を比較して――」において、近年の詐欺の故意に関する3つの最高裁判例はこれまで議論されてきた殺意の認定に関する議論とどのように関連しているのか、故意の基準がこれまでより緩められたのかそうではないのか、ということについて、2020年度までに検討した詐欺の判例と殺意に関する判例の比較することによって明らかにした。商学討究72巻1号に寄稿し、掲載された。 ②上記研究報告①での議論・指摘を踏まえて、上記判例の評釈を執筆し、法学新報128号3・4巻に寄稿し、掲載された。 ③ドイツにおいて未必の殺意の有無が議論され、ドイツ最高裁の立場である「是認説」の是非に関する議論を再燃させた2018年のBGH判例(いわゆるベルリンレーサー事件)について、判例の概要ならびにドイツでの議論状況・近年の学説の状況を整理して、「自己危殆化と殺意の認定 -ベルリンレーサー事件における故意の認定方法について-」を執筆し、商学討究72巻4号に寄稿し、掲載された。
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