2017 Fiscal Year Research-status Report
若年成人の犯罪に対する少年法制の適用可能性に関する理論的研究
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17K13629
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
津田 雅也 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80633643)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 少年法 / 少年の刑事事件 / 少年年齢 / 施設内処遇 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、日本およびアメリカにおける若年者設定の現状に関する文献調査を中心に研究を遂行したほか、国内調査、成果発表についても以下の実績を挙げることができた。 1.文献調査-わが国における少年法制の史的展開について、旧刑法・現行刑法の制定過程を立法資料及び学説を中心に調査した。大正少年法については、立法資料の調査を開始したほか、その他の資料の収集を行った。アメリカについては、データーベース(Lexis/Nexis)を用いて、メリーランド州の少年・刑事手続法の条文調査、同州の少年手続の調査を行った。その結果、同州においては、少年裁判所と刑事裁判所(成人の裁判所)の管轄権は、裁判官の裁量による定まる場合と法律によって裁量の余地なく定まる場合とがあること、刑事裁判所から少年裁判所に事件が戻される移送(逆移送)の件数が近年増加しつつあることが明らかとなった。さらに、同州の議会において、刑事裁判所への移送手続を制限する州法の改正案が審議中であること、2017年後半から、逆移送率の増加が同州の少年司法関係者(矯正職員、公設弁護人、州警察)の間で注目されていることが明らかとなった。 2.国内調査-2018年3月15日、駿府学園(静岡市)を参観・視察し、同施設の矯正職員から施設の概要について説明を受け、質疑応答を行った。本科研の研究課題である若年者の処遇のうち、所内教育と就労支援の実際について知見を得た。 3.成果発表-文献調査を行ったメリーランド州における少年事件の移送手続について、後掲の論文を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①少年年齢の設定、②若年者の刑事手続、③若年者に対する施設内処遇の3つを主たる研究対象としている。このうち、平成29年度は、②と③について調査を進展させることができた。具体的には、アメリカの文献調査に着手し、その一部を成果として公刊できたこと、国内調査において少年院の視察を実施できたので、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査については、アメリカの文献調査を継続し、移送手続(特に逆移送)について、メリーランド州を中心とした文献調査を進展させる。また、少年年齢設定についても、アメリカの各州の状況を文献調査によって明らかにする。国内調査については、国内少年院の視察を継続して行う。国外調査については、文献調査の結果を踏まえて、調査実施地を決定し、現地調査を行う。文献調査によって得られた成果は、論文の形でまとめ、公刊する。
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Causes of Carryover |
初年度の文献調査が主としてデーターベースに依拠したため文献購入に充てるための費用が見積もりより低かったこと、国内調査の実施が予定より少なかったことから、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、文献購入のほか、国内・国外調査の旅費を主たる使途とする予定である。
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Research Products
(1 results)