2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K13630
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
大塚 英理子 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (20761315)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 少年参審制度 / 少年法 / 裁判員制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年2月に行ったドイツでのインタビュー調査について論文を執筆し、公表した。 ドイツでのインタビュー調査では、ドイツの少年参審制度においてはどのような人物が少年参審員となり、どのような機能を果たしているのかという事項を中心にインタビューを行い、その成果をもとに論文を執筆した。論文のなかでは、ドイツの少年裁判所法において「教育的な能力」と「少年教育における経験」が要求されるドイツ少年参審員には、少年教育や少年の発達についての正しい知識をもち、さらに少年の将来に対して肯定的な関心を有している者が選出されるべきであると考えられていることを明らかにした。そしてこうした性質を有する少年参審員は、それぞれが有する様々な経験に基づき、裁判体に対し、少年を理解するのに助けとなる視点や少年の処遇についてのアイディアをもたらしたり、あるいは少年参審員が就いている職業から得られる知識をもたらしたりするということを述べた。 また、日本の家庭裁判所調査官と比較されることも多いドイツの少年審判補助者は、少年係裁判官と少年を結びつける存在、そして通訳のような役割を果たす存在であると評されていた。少年審判補助者は、自身が行った調査の結果作成する報告書を、少年が将来より良くなるためには何が必要かという視点で作成しており、その内容は裁判体が少年に対する処遇を決定する際に重視されていることを明らかにした。なお、日本の家庭裁判所調査官が作成する社会調査記録は、事件の背景を解明し、少年にふさわしい処分・処遇を選択するための資料が含まれていると理解されているが、ドイツでは「少年の将来がより良くなるためには何が必要か」を理解するために作成されており、視点の違いも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
少年の刑事裁判の公開停止について憲法の視点から検討を行うと、研究計画の段階では計画していたが、この点についての検討を行うことができておらず、当初の計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はドイツでの調査を行うことができず、また新型コロナウイルス感染症への対応のために研究の時間を十分に確保することが困難であったが、2021年度は国内での文献調査およびオンラインでのインタビュー調査を実現する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症への対応により研究時間を十分に確保することができなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度には文献調査のための書籍の購入費用にあてる計画である。
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