2021 Fiscal Year Annual Research Report
Citizen participation in juvenile court procedure and juvenile lay judge system in Germany
Project/Area Number |
17K13630
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
大塚 英理子 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (20761315)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 少年法 / ドイツ少年参審制度 / 裁判員制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ドイツの少年司法制度において市民参加はどのような影響を及ぼしているのか、少年参審員はどのような役割を果たす存在であるのかを明らかにすることを目的として、文献調査ならびにドイツの少年係裁判官・少年参審員経験者へのインタビュー調査を行った。 2019年、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下、裁判員法)施行10年を迎え、最高裁判所からは「裁判員制度10年総括報告書」が公表され、また研究者や裁判員経験により裁判員制度の課題や展望を示した研究がなされた。しかしこうした研究は少年が裁判員裁判の対象となった場合を個別に取り上げていない。たしかに裁判員法では少年を対象とした裁判員裁判について特別な規定を設けていない。しかし少年は成人とは異なる特性を有し、また法律上も、少年法はたとえ少年が刑事裁判の対象となったとしても「少年の健全な育成」の実現を求めており、刑事裁判における少年と成人の扱いは異なるはずである。 こうした日本の状況に対し、ドイツでは少年が被告人となった裁判では「教育的な能力があり、かつ少年教育における経験」を有する少年参審員が参加することとなっている。少年参審員として参加する市民に対し少年に対する教育についての能力と経験を要求することにより、成人が被告人となった裁判での市民参加とは異なる役割が少年参審員には期待されている。 そこで本研究では、少年参審員の経験者と、少年参審員と一緒に裁判に臨む少年係裁判官にインタビューを行い、少年係裁判官と少年参審員の協働、実際に少年参審員として選出される人物、少年係裁判官による少年参審員の評価等を聞き取った。その結果、少年係裁判官とは異なる経験を有する少年参審員が裁判に加わることで新たなアイディア・視点・知識がもたらされること、少年参審員が手続の分かりやすさや透明化に貢献している側面があると考えられていること等が明らかとなった。
|