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2017 Fiscal Year Research-status Report

自招防衛論の再検討―要件・制限内容の具体化を目指して―

Research Project

Project/Area Number 17K13631
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

坂下 陽輔  東北大学, 法学研究科, 准教授 (10735400)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords正当防衛 / 侵害回避義務 / 退避義務 / 自招侵害
Outline of Annual Research Achievements

正当防衛(刑法36条)は、裁判において問題となることが少なくない非常に重要なものである。そして、正当防衛の制限論は、最高裁平成20年5月20日決定(刑集62巻6号1786頁)の登場もあり、活発な議論がなされていたが、さらに最高裁平成29年4月26日決定(刑集71巻4号275頁)の登場を経て、ますますその議論は重要性を高めている。本研究は、自招侵害論や侵害回避義務論による正当防衛の制限の問題につき、その具体的要件と効果を明らかにすることを目的とする。

本年度は、正当防衛制限論に関わるわが国の判例・裁判例の分析と大陸法の調査分析を行った。
前者については、最高裁平成29年決定が出されたことから、その検討・分析に一定の時間を当てた(その成果は判例評釈として公表予定である)。また自招侵害に関わる裁判例の検討・分析も行った(その成果の一部は判例評釈として公表予定である)。
後者については、本年度前半はスイス法・オーストリア法の基礎的知見の収集に努めた。両国の主たるコンメンタールを分析・検討することにより、その後の研究の素地を固めた。また、本年度後半は、ドイツにおける、退避義務・侵害回避義務・官憲通報義務に関する学術書・論文を検討・分析した。そこでは、自招侵害論には肯定的であるにも拘らず、退避義務・侵害回避義務・官憲通報義務の賦課には非常に否定的なドイツの議論の趨勢が窺えた。しかし、国家実力独占の観点から、官憲通報義務や侵害回避義務を一定限度で肯定する論者が、少数ながらも存在することも判明した。国家実力独占との関係が正当防衛制限論との関係で重要性を有するとすれば、元来その観点から議論がされていた、侵害の急迫性・現在性に関する議論もより深く検討することが必要であろう。その観点からの分析を次年度以降行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通り、わが国の判例・裁判例の状況を分析し、また大陸法の基本的知見を獲得しつつ、その一部であるドイツ法において、研究の中核の一つとなる知見を獲得することが出来た。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、当初の予定に従い、研究を進めていく予定である。

Causes of Carryover

海外出張を次年度以降に予定しているため。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 被告人が、自転車に跨って前方に立ち塞がった相手方をどかせるために自転車前輪を蹴ったことを契機として、相手方が被告人に対して暴行に及んだことから、相手方を殴打し傷害を負わせた行為について、けんか闘争、自招侵害等の観点から検討した上で、正当防衛の成立を認めて無罪とした事例2018

    • Author(s)
      坂下陽輔
    • Journal Title

      刑事法ジャーナル

      Volume: 56号 Pages: 102-108

  • [Journal Article] 侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合における刑法36条の急迫性の判断方法2018

    • Author(s)
      坂下陽輔
    • Journal Title

      判例時報

      Volume: 2362号 Pages: 印刷中

URL: 

Published: 2018-12-17  

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