2017 Fiscal Year Research-status Report
将来債権の差押えの許容性について―第三債務者の保護のあり方の再検討を通じての考察
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17K13641
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山木戸 勇一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (20623052)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 民事執行法 / 強制執行 / 債権執行 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来債権の差押えの許容性に関しては、差押債権者と第三債務者との間の利益衡量から考察するという一般論が提示されてきたが、その具体的な内容は十分に明らかにされているとはいえない。また、近年最高裁において問題となった将来預金の差押えの許容性についても、金融機関のシステムの整備状況に依存した議論が展開されており、第三債務者に与えられるべき保護の程度や手段について、より柔軟な解釈論が望まれるところである。本研究は、将来債権の差押えにおいて、第三債務者に与えられるべき保護の程度とその保護の手段を詳細に理論的に検討することによって、第三債務者との間の利益衡量の内容の精緻化を図り、このことを通じて、将来債権の差押えの新たな事案類型(特に将来預金の差押え)に関して、これを許容するために必要となる解釈論や制度設計について具体的な検討をすることを目的とするものである。 初年度の平成29年度は、本研究の第一ステップとして、第三債務者の保護の観点から債権差押えに関連する問題について議論をしてきた蓄積が多く認められるドイツ法の議論の歴史および展開を参考にしながら、債権執行一般における第三債務者の保護のあり方を検討した。本研究の目的との関係においては、ドイツ法における第三債務者の保護に関する思考水準を明らかにすることが重要となるため、債権執行における第三債務者の保護に関するドイツ法の議論の歴史及びその展開を初期に遡って検討することによって、債権執行における第三債務者の保護に関するドイツ法の理論的な到達点を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において初年度に行うものとしていた、本研究の出発点として必要となる作業が概ね予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、将来債権の差押えに関する規定(ZPO832条や833条)を有しており、かつ、近年将来預金の差押えを許容する旨の規定(ZPO833a条)が立法化されているドイツ法の議論の歴史やその展開及び現状における問題意識を参考にしつつ、将来債権の差押えを許容するために検討すべき問題点や必要となる制度設計について検討することとする。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通り使用したが、年度末から年度始めにかけて出張した旅費の支給が平成30年度にずれ込んだため、残額が生じた。 この残額は、上記の旅費として速やかに予算を執行する。
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