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2019 Fiscal Year Research-status Report

行為規制の実現手段としての開示規制:証券市場における開示規制の再構築

Research Project

Project/Area Number 17K13643
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

温 笑トウ  東北大学, 法学研究科, 准教授 (80754548)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords開示規制 / 虚偽記載 / コーポレートガバナンス
Outline of Annual Research Achievements

コーポレートガバナンスの有効性を評価するための開示制度の一つとしての内部統制報告書制度の形骸化について調査し、内部統制報告書の虚偽記載に関するアメリカ裁判例の調査と収集、ハーバード大学ロースクールのラムザイアー教授とアレーン教授との意見交換を行い、調査結果に基づいて学術論文を完成した。同論文は、コーポレートガバナンスやMD&Aなどの非財務情報の開示への関心が益々高まっている今日において、非財務情報の開示規制の一つとしてすでに十年以上施行されてきた内部統制報告書制度の形骸化をテーマに、アメリカ判例法を踏まえて、内部統制報告制度の形骸化の原因を探り、非財務情報の開示規制を機能させるために、いかなる問題点を注意すべきかを提言することを目的としている。結論としては、内部統制報告書の開示制度が会社法における内部統制構築に関する行為規制を補助する機能が果たしておらず、その原因として、内部統制における重要な不備を適時に開示するインセンティブと、財務報告の虚偽記載に基づく損害賠償責任を回避するインセンティブとの衝突は、内部統制報告制度の形骸化をもたらす一つの要因である。非財務情報の開示規制を機能させるためには、将来の予測に関するセーフハーブなどだけでは足りず、非財務情報を適時に開示した者に関して、上記インセンティブの衝突の回避を目的とする立法上もしくは判例法上における責任の免除もしくは軽減を検討しなければならず、それに加え、上記インセンティブの衝突に直面しない第三者による告発を促し、違反が発覚された場合のサンクションによる脅威を現実化にすることも必要であると考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本事業は、証券市場の開示規制と行為規制との相補性に着目し、開示規制の 行為規制を実現する手段としての役割を考察し、開示規制の再構築を目指している。開示規制の一つとしての内部統制報告書制度は、内部統制の健全性を目指して、上場会社の行動を規制する役割があるが、アメリカと日本において、かかる制度の形骸化の問題が深刻である。すなわち、かかる領域において、開示規制が行為規制を代替しもしくは補助する機能を果たしていないことがわかった。行為規制を実現する手段としての役割を果たすために、制度の形骸化を引き起こす原因を探ることを目的とする内部統制システムへの研究が重要であり、本事業の重要な構成部分である。内部統制報告書制度の形骸化に関する調査を通じて、コーポレートガバナンスを規制する開示規制の限界を探ることを可能にし、本研究の客観性を高め、そして、より実益性の高い提言を可能にする。

Strategy for Future Research Activity

コーポレートガバナンスをはじめとする非財務情報の開示規制が機能しない原因には、非財務情報と財務情報の開示規制の間にインセンティブの衝突が存在するのみならず、非財務情報の開示規制と会社法の行為規制との間にも存在する可能性がある。たとえば、利益相反取引、調達資金の使途、MD&A、及びリスクファクターを開示するインセンティブと任務懈怠責任を回避するインセンティブの衝突などが存在する可能性もある。今後の研究の推進方策として、内部統制報告制度の形骸化に関する研究の成果を踏まえ、その他のコーポレートガバナンスに関する非財務情報の開示規制について、形骸化をもたらす成因がないかを検討し、内部統制報告制度に特有の問題であるか、それとも普遍性のある問題なのかを明らかにし、開示規制の再構築を目指して提言する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由:アメリカの帰国費用及びアメリカから帰国後の研究費が不足しているため、当年度の所要額から、一定 の額を次年度にまわすことにした。

使用計画:アメリカからの帰国費用、パソコンと書籍の購入代金に使う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 内部統制報告制度の形骸化2021

    • Author(s)
      温笑とう
    • Journal Title

      法学

      Volume: 85巻1号 Pages: 未定

  • [Journal Article] 虚偽記載の可能性を認識して株式を取得した者の保護2019

    • Author(s)
      温笑とう
    • Journal Title

      ジュリスト

      Volume: 1532 Pages: 95-98

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-01-27  

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