2021 Fiscal Year Research-status Report
行為規制の実現手段としての開示規制:証券市場における開示規制の再構築
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17K13643
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
温 笑トウ 東北大学, 法学研究科, 准教授 (80754548)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 開示規制 / 虚偽記載 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年12月14日東北大学商法研究会で「行為規制を実現するための開示規制ーー強制開示の正当性についての再考察」を題とする報告を行い、同じ題目の論文を『法学』85巻3号1(2022年)にて公表しています。本研究は、強制開示は,純粋に投資判断材料の提供を目的とするものではなく,その生まれた時から発行会社の行動を影響する目的で利用され,また,開示する情報の範囲の拡大につれ,今日においては,強制開示規制が行為規制を実現するための手段として重要な役割を果たしていることを指摘し,強制開示の正当性を改めて根拠づけた。しかし、開示規制のこのような役割を実現するためには,違反行為を行ったものに対する制裁が必要であり,その典型として虚偽記載に関する金商法上の損害賠償責任があるが,本研究は,開示規制に基づく損害賠償責任の追及を徹底することは慎重できなければならないと指摘した。すなわち、虚偽記載に対する規制は,実質的に,取締役の信認義務違反に対する規制である場合が多く,そのため,金商法上の救済を与えることは、実質的に,取締役の信認義務違反による損害を填補する効果があると言える。ところが,会社法は,経営を萎縮しないように取締役の責任を限定的に解釈しており,また,損害賠償を請求する場合でも,株主間の不平等及び利益の移転が生じることを避けるべく制約を設けているのに対して,金商法は,このような視点を持っておらず,株主全体の利益や企業価値の向上よりも投資者の保護を優先しているから,開示規制違反による損害賠償責任の追求を徹底することは,会社法が構築しようとする中立な利害調整の仕組みを瓦解するおそれがあるからである。本研究は,開示規制違反に基づく損害賠償制度の目的を損失の填補ではなく,違反行為の抑止機能に求めることの重要さを改めて認識した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題は、「行為規制の実現手段としての開示規制:証券市場における開示規制の再構築」である。今年度の研究成果によって課題の目的たるものが概ね達成したことになりました。しかしながら、不十分なところもございまして、研究成果に見られる問題意識への対策を考察していなかった点にあります。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の成果により会社法と金商法の競合の問題が提起されましたが、今後は、かかる問題への解決策をいつくか挙げて検討したいと考えております。例えば、アメリカ法と中国法を参考して、証券規制の和解制度や行政の介入などの手段を考案したい。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナの影響で予定された国際会議が延期されたり、取り消されたりすることで、次年度使用額が生じました。
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Research Products
(2 results)