2019 Fiscal Year Annual Research Report
Division and transmission of nonexempt property
Project/Area Number |
17K13644
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小峯 庸平 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80707464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 民法 / 財産法 / 担保法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終年度にあたる本年度は、研究課題の公表を中心として研究活動を行った。昨年度までに行われていた、法学協会雑誌への投稿原稿及び日本私法学会における報告を踏まえ、単著となる書籍の執筆が行われた。書籍を執筆するにあたっては、最新の資料・判例を参照するほか、日本私法学会における報告の際の質疑応答を踏まえて、先行研究への評価を改め、先行研究において明らかになっていない部分を開拓するという本研究の位置づけが明確に示されることとなった。さらに、今年度後半は、本研究課題の主要な考察対象であるパトリモワヌ理論が提唱されたフランスにおいて在外研究を行った。パリ第二大学において講義を聴講し、また、当地の研究者と意見交換をすることで、伝統的なパトリモワヌ理論が現在なおフランスにおける財産法の構築の基礎となっており、本研究課題においても検討された、「例外」としての諸制度が、異質なものとして理解されている現状が明らかになった。このことは、パトリモワヌを不可分なものとする伝統的理論によって説明できない法制度の存在をもってしても、依然として、パトリモワヌ概念そのものの有用性が損なわれないことを意味している。パトリモワヌ概念について、分割され、移転する客体となる個々の単位として、伝統的なものとは区別された理解がとられていることは、日本においても、責任財産そのものを移転させる方法を検討するにあたって、示唆に富む現象である。
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