2017 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Minority Shareholders in Freezeout
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17K13646
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
寺前 慎太郎 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (00756471)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 会社法 / 少数株主の締出し / 完全子会社化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少数株主の締出しの場面を念頭において、対象会社の少数株主による事前の規律づけのあり方を探求するものである。 このような研究課題に取り組むため、平成29年度においては、当初、主にヨーロッパ各国の公開買付規制を調査・検討することを予定していたが、その過程で、本研究の本格的な遂行にあたって、その前提をより一層明確にしておく必要が生じた。そこで、当初の研究計画を一部変更し、研究代表者がこれまで研究の対象としてきたアメリカ法(とりわけ、デラウェア州における判例法理)とドイツ法に関する近時の議論状況を再度検証することにした。 その結果として、次のような成果を得ることができた。すなわち、上場会社を対象会社とする締出しの場面に限れば、少数株主の利益を適切な水準で保護するためには、裁判所による事後的な審査よりも少数株主自身による「自衛」の方に大きな期待をすべきなのではないか、ということである。ここで想定している少数株主による「自衛」の手段には、締出しの差止請求などの制定法に根拠がある手段のほか、買収者である支配株主に対する直接的な働きかけといったインフォーマルな手段も含めてよいと考えている。 もっとも、後者のインフォーマル手段が実際にはどこまで機能するのかということや、そのような手段を後押しできる法ルールとはどのようなものかということが、新たな検討課題として生じた。これらの課題は、当初予定していた比較法研究を通じて、順次明らかにしていくことを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のとおり、当初の研究計画を一部変更したことから、本研究全体の進捗状況に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、ヨーロッパ諸国の公開買付規制の調査・検討をさらに進めるとともに、その成果を順次公表する予定である。上記のとおり、本研究の進捗には多少の遅れが見られるものの、これは、検討の順序を入れ替えたことによって生じたものであるため、本研究全体の進捗への影響はさほど大きくない。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、当初の予定よりも安価で購入できた洋書が複数あったことによる。次年度使用額は、平成30年度の請求額とともに、物品費として利用する予定である。
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