2021 Fiscal Year Annual Research Report
Adjustment of Gain from Infringing the Rights of Another
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17K13648
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村田 大樹 関西大学, 法学部, 教授 (10509227)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不当利得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当初の目的であった違法に取得された利益の分配法理の考察から、やや視点を変え、不当利得法の体系的な構造、特に不当利得法以外の民法制度との関連性に着目して研究を行ってきた。 この観点から、2021年度は、まず、2020年に公刊された、拙稿「侵害利得の体系的位置づけ―あるいは侵害利得の解消論」中原太郎編著『現代独仏民事責任法の諸相』(商事法務、2020年)で示した仮説、すなわち、これまで侵害利得として扱われてきた局面を3つの既存の制度へと解消させるとの見解を踏まえ、その中でも収益の返還に関わる問題について、ドイツ法の調査を行った(特に、Erik Roeder, Nutzungsausgleich im Buergerlichen Recht (2020)や、Ben Koehler, Die Vorteils- und Gewinnherausgabe im CISG (2021)の検討を試みた)。 また、それと並行し、法律行為の無効・取消しにおける原状回復法理の検討にも着手した。この問題については、平成29年の改正により121条の2ができたことで、すでにいくつかの重要な研究が発表されているところ、無効・取消しによる原状回復の具体的なあり方を考えるにとどまらず、この局面が改正前と同様に不当利得法の問題として体系上位置づけられるべきであるのか(契約法の問題として正面から位置づけられるべきではないのか)、との問題意識を有している。 もっとも、いずれの課題についても成果の公表には至らなかった。
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Research Products
(1 results)