2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K13655
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Research Institution | Yokohama College of Commerce |
Principal Investigator |
亀井 隆太 横浜商科大学, 商学部, 講師 (70706910)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代位 / Derivativregress / subrogation |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツの現行法の研究については、研究代表者のこれまでの研究成果を踏まえつつ、裁判例・モノグラフィー等の文献の検討を行った。 ドイツでは非付従的担保が普及しているが、非付従的担保においては弁済による代位の際の担保の移転方法として付従性の理論が妥当していない。ドイツの金融実務上重要な、非付従的な担保である保全土地債務(Sicherungsgrundschuld)、譲渡担保(Sicherungsuebereignung)については弁済による代位の際、担保移転義務が生じると一般に解されている。その法的根拠はいかなるものかについて、ライヒ裁判所、連邦通常裁判所の裁判例を精査した。当事者意思の推定という解釈、あるいはBGB774条1項、412条、401条の類推適用といった解釈について検討を進めた。併せて、Dieckmann,Der Derivativregress des Buergen gegen den Hauptschuldner im englischen und deutschen Recht,2003およびHawellek, Die persoenliche Surrogation,2010等の文献を用い研究を進めた。 日本法については、最判昭和59年5月29日民集38巻7号885頁などの諸判例および通説が求償と代位の関係を明らかにしている。かかる判例法理の詳細を検討し、併せて近時の有力学説の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者のこれまでの研究成果を踏まえつつ順調に進展している。平成29年度は予定していた海外出張を控えたが、必要な文献の収集には問題なく、研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成30年度)は主にイギリス現行法の研究を行う。イギリスにおける代位のメカニズムを明らかにするため、近時、著しい変化を遂げつつある、不当利得法(law of unjust enrichment)の研究を進める。近時の著作物である”Goff & Jones: The Law of Unjust Enrichment,9th ed.,2016”では、Charles Mitchell による代位のメカニズムに関する詳細な検討が新たに加えられており、これと併せ、他の重要と思われる学術文献等の収集を進め、これらの精読・検討を通して明らかにする。 平成31年度は、平成29年度・30年度の研究を踏まえて、日本・ドイツ・イギリスの法制度とそれをめぐる議論の比較・検討を行う。ここでは3ヶ国の共通点と相違点を洗い出し考察する。
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Causes of Carryover |
今後の本研究に必要な文献の出版予定等を見越して、本年度における購入を控えた。 海外出張を来年度以降に変更した。 次年度は、比較的多くの文献の購入や海外出張等を予定しており、ここから支出する。
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