2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K13655
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Research Institution | Yokohama College of Commerce |
Principal Investigator |
亀井 隆太 横浜商科大学, 商学部, 准教授 (70706910)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イギリス / 不当利得 / 弁済による代位 |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリスにおける代位のメカニズムを明らかにするため、近時、著しい変化を遂げつつある、不当利得法(law of unjust enrichment)の研究を進めた。具体的には、イギリス不当利得法上の画期的な業績と目されるGoff /Jones の著書”The Law of Restitution”の精読・研究、および貴族院判決であるLipkin Gorman v. Karpnale Ltd事件(1991 年)を中心に検討して、イギリスの一般不当利得法について検討した。 また、イギリス法の「代位」の起源についてはあまりはっきりとしておらず、ローマ法の影響については争われていることを確認した。すなわち、代位は純粋にイギリスの理論であると考え、ローマ法からの継受を否定する論者もあるが、ローマ法の継受を肯定する者もあることを確認した。イギリス法については、重要な学術文献等の収集を行い、これらの精読・検討を行った。 同じ英米法圏であるアメリカ合衆国などの代位制度についても研究を進め、Dixon, Sheldon, Harris などの文献を精読した。 日本法については、最判昭和59年5月29日民集38巻7号885頁などの諸判例を中心におよび通説が求償と代位の関係を明らかにしている。かかる判例法理の詳細を検討し、併せてこれまでの有力学説の検討を行った。 また、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)における弁済者代位規定の検討および改正に至るまでの各種議論について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者のこれまでの研究成果を踏まえつつ順調に進展している。平成30年度は海外出張を実施し、必要な文献の収集も行い、研究を遂行するにあたり必要な調査・研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を踏まえて、日本・ドイツ・イギリスの法制度とそれをめぐる議論の比較・検討を行う。ここでは3ヶ国の共通点と相違点を洗い出す。 さらに、これまでの研究結果を総合して、比較法的分析で得られた知見を基礎にした、日本における弁済による代位制度のあり方について検討を行う。
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Causes of Carryover |
今後の本研究に必要な文献の出版予定等を見越して、本年度における書籍購入を控えた。 次年度は、比較的多くの文献の購入や海外出張等を予定しており、ここから支出する。
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