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2018 Fiscal Year Research-status Report

民法改正と売買における契約不適合給付

Research Project

Project/Area Number 17K13656
Research InstitutionKyoto Sangyo University

Principal Investigator

古谷 貴之  京都産業大学, 法学部, 准教授 (40595849)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords民法改正 / 契約不適合 / 売買 / 追完請求権 / EU法 / EUデジタル単一市場戦略 / 消費用動産売買 / 欧州司法裁判所
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度の研究は、売買における契約不適合給付に関する比較法的検討を行うため、次の二つの観点から、EU売買法の研究を行った。
第一に、2017年10月31日に欧州委員会が公表した「オンライン売買指令提案の改正提案」(COM [2017] 637 final.)に関する研究を行った。この新提案の主たる目的は、2015年12月9日公表のオンライン売買指令提案の適用範囲を拡大すること(対面販売にまで及ぼすこと)である。この研究の成果を、拙稿「EUデジタル単一市場戦略における新たな動向―オンライン売買指令改正案の検討―」産大法学52巻1号(2018年)49-82頁として公表した。
第二に、消費用動産売買指令(1999/44/EC)における「責任期間」と「時効期間」の区別の意義を明らかにした欧州司法裁判所の判決を検討した。同裁判所は、消費者売買において、契約不適合給付があった場合の買主の権利の「時効期間」を当事者の合意により2年以下に短縮できるとするEU加盟国の法規定は消費用動産売買指令に抵触するとの判断を行った。この判決は、現在のEU売買法の議論を理解する上で、重要な意義をもつ。判例研究の成果は、拙稿「欧州司法裁判所2017年7月13日判決(Ferenschild判決)の検討―消費用動産売買における『責任期間』と『時効期間』の区別の意義―」産大法学52巻3号(2018年)77-95頁で公表した。
本研究は、2017年5月の改正民法下における売買の契約不適合給付に関する規定(改正法案562条以下)について検討を行うものであり、検討の方法として、ドイツ法およびEU法との比較研究を行うこととしている。昨年度(平成29年度)に行ったドイツ法の研究に続き、本年度(平成30年度)は主としてEU売買法の研究を行なった。これにより日本法の議論を分析する際の基礎的知見を得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

改正民法の売買における契約不適合責任制度について検討するにあたり、これまで日本法の議論状況の整理、および、ドイツ法・EU法の比較研究を行なってきた。研究の成果として、日本法における重点的検討課題を明らかにし、さらにドイツ法およびEU法の瑕疵担保責任・契約不適合責任に関する最新の動向をつかむことができた。日本法の検討に移る前の基礎的知見を得ることができ、現在までの研究はおおむね順調に進展しているといえる。
平成30年度は、当初研究計画に従えば、日本法の議論についても踏み込んだ検討を行う予定であった。具体的には、①「契約不適合」の判断基準、および、②追完請求権の法的性質について、比較法の知見を踏まえた議論を展開するつもりであった。しかし、平成30年度は、在外研究により、一定期間、科研費での研究を中断しなければならない状況となったため、若干ではあるが研究の遅れが生じている。すでに在外研究を終えて、本研究を再開しており、研究の進捗状況に特段の問題は生じていない。また、在外研究中の研究成果も一定の範囲で本研究に活かすことができるため、研究遂行上の問題は生じていない。その他、本研究を進める上で妨げとなる事情も生じていない。

Strategy for Future Research Activity

今後は、ドイツ法及びEU法の最新の研究を踏まえ、わが国の改正民法における契約不適合に関する規律について検討を加える。具体的には、①「契約不適合」の意義、②「買主の追完請求権の法的性質」、及び③「売主の追完利益保障の意義」について検討を行い、日本法の下での解釈論を提示する。この成果を、「民法改正と売買における契約不適合給付」に関する研究の成果として、書籍により刊行したいと考えている。

Causes of Carryover

成30年度中、在外研究により、一定期間、科研費での研究を行うことができなかった。そのため、次年度使用額が生じている。平成31年度は図書(邦語文献・外国語文献)の購入費(108,326円)、および、海外研究旅費(700,000円)として合計808,326円を使用する計画を立てている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] EUデジタル単一市場戦略における新たな動向 : オンライン売買指令改正案の検討2018

    • Author(s)
      古谷貴之
    • Journal Title

      産大法学

      Volume: 52 Pages: 49 - 82

    • Open Access
  • [Journal Article] 欧州司法裁判所2017年7月13日判決(Ferenschild判決)の検討 : 消費用動産売買における「責任期間」と「時効期間」の区別の意義2018

    • Author(s)
      古谷貴之
    • Journal Title

      産大法学

      Volume: 52 Pages: 515-533

    • Open Access

URL: 

Published: 2019-12-27  

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