2019 Fiscal Year Annual Research Report
Civil Code Reform and Non-conformity in sales contract
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17K13656
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
古谷 貴之 京都産業大学, 法学部, 准教授 (40595849)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 民法改正 / 売買 / 契約不適合 / 追完請求権 / 瑕疵担保 / ドイツ法 / EU法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までと同様、「民法改正と売買における契約不適合給付」に関する研究を行った。この研究では、2017年5月に改正された民法について、特に「売買」の領域で学説上及び実務上議論のある問題について理論的観点から研究を行い、ドイツ法及びEU法との比較を踏まえて、日本法の下での解釈論の提示を試みた。 具体的には、本研究において、契約不適合責任をめぐるわが国の学説及び実務の議論を整理したうえで、とりわけ、①「契約不適合」の意義、②「買主の追完請求権の法的性質」、および、③「売主の追完利益の保障」の意義という3つの観点から新たな制度の検討を行い、それぞれの問題に対する解釈論の提示を試みた。 本研究の成果として、①拙稿「買主による代金減額後の『大きな損害賠償』請求権行使の可否」産大法学53巻2号(2019年)143-175頁、②同「社会・経済のデジタル化と消費者保護」産大法学53巻3・4号(2020年)77-95頁、および、③同「物品の売買契約に関する新たなEU指令の分析」産大法学54巻1号(2020年)127-155頁を公表した。また、科研費(研究成果公開促進費/課題番号19HP5128)の助成を受けて、本研究の成果をまとめた書籍『民法改正と売買における契約不適合給付』(法律文化社、2020年)を刊行した。同書では、改正民法の売買の領域で特に議論がある上記3つの問題について解釈論の提示を行い、わが国の今後の議論に貢献しうる新たな知見を付け加えることを試みた。 さらに、本研究の成果の一つとして、売買法の領域で今後特に検討されるべき課題についても明らかにすることができた。具体的には、近年において社会・経済のデジタル化が進展する中で、売買における契約不適合給付に関わる問題をどのように規律するべきかという問題が生じている。今後は、本研究の成果を基礎に、この新たな課題に取り組んでいきたい。
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