2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Range of Suitability Rule to Discount Broker
Project/Area Number |
17K13659
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
永田 泰士 姫路獨協大学, 人間社会学群, 准教授 (10514424)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 適合性原則 / 取引開始規制法理としての適合性原則 / 受託規制法理としての適合性原則 / 主体的取引環境整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に実施した研究は、次の二点である。第一に、本研究の計画当初は存しなかったEU法及びドイツ法におけるCFD取引に関する新たなレバレッジ規制やロスカットルール規制、マイナス残高保護規制につき、その内容や規制導入の趣旨に関する検討を行った。本研究では、取引開始規制法理としての適合性原則と受託規制法理としての適合性原則という、取引の勧誘規制を目的としない適合性原則が存することを明らかにし、かつ、今日の法状況下におけるこれらの具体的内容とその妥当性を明らかにしてきた。CFD取引に関する新たな規制は、受託規制法理としての適合性原則との関連性を有し、そこで、日本法の受託規制法理としての適合性原則の現状を相対化するための一つの素材としての意義を有する。これについては、これまで公表してきた本研究の成果を一本化する際に組み込んで公表するか、別途個別に公表するかのいずれかを予定している。 第二に、本研究の次に必然的に設定される研究課題に着手した。本研究では、取引開始規制法理としての適合性原則や受託規制法理としての適合性原則は、投資者の権利保護の観点からも、市場の観点からもその存在が肯定されるべきであるが、その義務水準を高度化することは、公正を害するのみならず様々な弊害を伴うことになるために避けられるべきであるとした。しかし、そのような問題を伴うことなく、投資者の主体的取引環境整備がなし得るのであれば、それが望ましいことは言うまでもない。その一翼を担いうるものとして、ドイツ法を参考に、累積コストの開示制度の研究に着手した。これは、主体的取引環境整備に資するのみならず、過当取引勧誘被害の予防にも重要な役割を果たし得ることが予想される制度である。そこで、今日の過当取引規制の内容とその限界を明らかにする作業を並行させる必要があり、これを行い、研究成果として公表した。
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