2017 Fiscal Year Research-status Report
個人データの越境移転におけるプライバシー保護の法規制に関する研究
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17K13663
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮下 紘 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (80506519)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プライバシー |
Outline of Annual Research Achievements |
ビッグデータの時代における個人データの国際流通を促進しつつ国境を越えてプライバシーを保護する方策を示すことを目的として研究を進めた。1年目は、法規制の違いについて,なぜ異なるデータ移転の法規制が整備されたのか,1980年代以降の研究に遡り,立法過程などを調査した。特にEU一般データ保護規則の適用に向けた動向、アジア諸国における法改正の動向について文献調査とともに、国際会議等へ出席し最新の動向についてアメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアの専門家から意見をうかがうことができた。 1年目の調査から、越境データ移転の法規制の条文の違いは、規制の動機が異なることについて理解を深めることができた。つまり、越境データ移転の規制が、電子商取引等の商業的動機、捜査のための法執行目的、あるいは個人データ保護の人権目的等様々なものがあることについて整理することができた。特に越境データ移転については、EU司法裁判所の2015年Maximillian Schrems v Data Protection Commissioner判決以後、アメリカとヨーロッパにおけるプライバシー保護のアプローチが異なることが指摘され、アメリカとヨーロッパのプライバシー保護の思想・哲学の差異についても意識して研究を行なった。 具体的な成果として、拙著「規則の特徴と対応 (特集 個人情報保護の「世界標準」 EU一般データ保護規則 施行への対応)」ビジネス法務17巻8号(2017)のほか、第39回データ保護プライバシーコミッショナー国際会議等において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プライバシー保護をめぐる国内外の動向について調査することができた。特に越境データ移転をめぐる法的規制についてEUとアジアの法制度について調査を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である2018年度にはEU一般データ保護規則が適用されるため、日本と諸外国への影響について比較法分析を進める予定である。また、2018年度中にEU一般データ保護規則の解説書や論文を公刊する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議への出席が、都合により出席できず、そのため次年度以降に繰越を行なった。次年度以降に国際会議への出席の予定があるため、計画に支障はない。
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