2018 Fiscal Year Research-status Report
個人データの越境移転におけるプライバシー保護の法規制に関する研究
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17K13663
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮下 紘 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (80506519)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 個人情報保護 / 十分性 / 越境移転 / データローカライゼーション / GDPR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,諸外国の法制度等でみられる越境データ移転の規制が日本の個人情報保護法に新たに導入されることに伴う法的課題を明らかにし,ビッグデータの時代において,個人データの国際流通を促進しつつ国境を越えてプライバシーを保護する方策を示すことを目的としている。 個人データの越境移転規制については,EU一般データ保護規則(EUデータ保護指令)における「十分性」の要件が特に重要となってくるため,2018年度も引き続き検討を行った。とりわけ,2019年1月には日本の個人情報保護法が補完ルールを条件とした十分性の認定を欧州委員会から受け,この経緯と決定について研究を行ってきた。 また,2018年度は,Case C-507/17, Google v CNILがEU司法裁判所において弁論が行われ,法務官の意見が下された(今後,先決判決が下されると予想される)。この事件では,検索結果の削除請求における地理的範囲が一つの争点とされており,削除の範囲は個人データの共有(移転)の範囲とも密接に関係してくるため,検討を行ってきた。 また,中国,韓国,インドネシア,タイ等のアジアにおける個人情報保護法制についても国際会議等を通じて専門家と意見交換を行ってきた。 さらに,2019年1月にはコンピュータデータ保護プライバシー国際会議において,2つのセッションにおいて研究発表を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個人情報保護をめぐる世界的な動向の変化が大きく,これらをフォローアップすることが重要となり,本来のテーマとともに新たな動向についても注視しながら研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,EU一般データ保護規則の波及効果について越境データ移転の観点から中心的に検討するとともに,日本の個人情報保護法制の改正動向についても配慮しながら研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
国際会議等の支出額がかさんだため,若干の支出が増えたが,次年度の研究計画への影響はない。
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