2018 Fiscal Year Research-status Report
麻薬紛争下の集合行為:現代メキシコにおける自警団運動の比較分析
Project/Area Number |
17K13667
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬場 香織 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (10725477)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | メキシコ / 麻薬紛争 / 社会運動 / 自警団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、麻薬紛争下のメキシコにおいて、武装した市民による自警団運動がなぜ発生し、大きな運動へと拡大し、そして衰退していったのか、そのメカニズムを社会運動論の知見を参照しつつ明らかにしようとするものです。凄惨な暴力を展開する麻薬犯罪組織に対抗することは、市民にとって命に関わるきわめて危険な行為であるうえ、違法行為として処罰の対象ともなりえます。そのようななかで、ミチョアカン州の自警団運動は、最大で1万人を超えるメンバーを抱えるメキシコでもっとも大きな運動へと発展しました。ミチョアカン自警団の発生、拡大、そして衰退の要因を探ることは、メキシコのような暴力が市民の暮らしに大きな影響を与える社会において、国家と市民の関係を考えるうえでとても重要です。 このような問題意識にもとづき、平成30年度は、最終成果となる論文の執筆を進めました。その際、前年度までに論稿として発表し、研究会でも報告を行った、メキシコの麻薬紛争の現状や自警団運動の概要についての調査結果を下敷きとしました。研究論文は馬場(2019)として発表しました。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミチョアカン自警団に関する事例研究を論文として発表することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ひとまずミチョアカンの自警団運動については、研究論文としてまとめることができたので、今後はメキシコ内での比較研究につなげていきます。特に、ミチョアカン同様に周辺的で、犯罪組織の暴力が苛烈な地域において、自警団が発生する条件とはどのようなものなのか、比較の観点から進めていく予定です。
|
Causes of Carryover |
最終年度も研究調査と成果発表のため2回の海外渡航が必要となる見込みのため、一部助成金を最終年度に持ち越すこととしました。
|