2017 Fiscal Year Research-status Report
The Study of Agency Design in Contemporary Japan
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17K13670
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河合 晃一 金沢大学, 法学系, 講師 (50746550)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 官僚制 / 行政組織 / 中央省庁 / 現代日本政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1990年代以降の日本における中央省庁組織の制度設計過程の分析を通じて、行政組織の制度設計に関するこれまでの通説的見解を批判的に検討し、わが国における中央省庁組織の設計に対する規定要因を明らかにすることである。 また、上記目的を達成するために、本研究では、数理モデルや統計的分析方法を用いた海外の関連先行研究の知見を摂取しながら、1990年代以降の日本の中央省庁組織を対象とした国家行政組織の制度設計に対して一貫した説明を可能とする行政学の理論モデルの構築を試みる。 以上のような研究目的・目標にもとづき、本年度は事例研究として、復興庁の制度設計過程を分析した。当該事例の分析にあたっては、まず、組織の制度設計に携わった関係者による論稿や関連する先行研究をもとに文献調査を行いながら、復興庁の制度設計をめぐる政治過程を詳細に観察した。また、観察にあたっては、与野党アクターの行動に焦点をあてた政治サイドからの考察だけでなく、行政サイドである官僚の活動についても把握するため、文献調査を補完する形で関係者(関係法令の立案に携わった行政官)へのインタヴュー調査も実施した。 当該調査および分析により、復興庁の制度設計の帰結(組織の自律性の程度)には、与野党間での合意調達にかかる政治的取引費用の大きさが関係していることを確認し、本研究の目指す、国家行政組織の制度設計に関する理論モデルの構築作業を進展させることができた。 さらに、中央省庁組織の制度設計に関わる官僚の選好を把握するため、一部省庁を対象とした官僚制研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施を予定していた復興庁の分析を完了することができ、また本研究を進める中で得た研究成果を国内学会および国際学会において報告したため、ほぼ予定どおりの進捗状況と考えられる。なお、復興庁の事例研究をまとめた研究成果については、次年度に論文として公表することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き中央省庁の事例研究を行い、加えて、理論のさらなる一般化を目指すために分析対象を1990年代以降設置の中央省庁から戦後以降設置の中央省庁に拡大して、統計手法による分析を可能にするデータセットの作成準備を行う。
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Causes of Carryover |
研究に必要となる資料およびデータ等の整理、入力作業を行ってもらう研究補助に係る費用が予定よりも少なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度は分析対象を当初よりも拡大する形でデータセットを作成する予定であるため、研究補助に係る費用を増やすことで当該金額を使用する計画である。
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Research Products
(4 results)