2018 Fiscal Year Research-status Report
ポスト基礎付け主義時代におけるデモクラシーの行方:アゴニズムの民主主義論を中心に
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17K13672
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 圭 立命館大学, 法学部, 准教授 (90720798)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポスト基礎付け主義 / 民主主義 / アゴニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度はひきつづき、ポスト基礎付け主義とデモクラシーの関係について考察した。ポスト基礎付け主義とは、かつての基礎付け主義に立ち戻るのでもなく、あるいは現代の相対主義にも居直らないような仕方で、何か特定の社会構想を支持するための暫定的な尺度を持とうとする立場のことである。 本研究では、基礎付けを「擬制fiction」と捉える視点を提示し、またその擬制が絶対化せず、多様性を確保するためにアゴニズムの民主主義論が有効であることを明らかにした。つまり、ポスト基礎付け主義の戦略とは、基礎付けを擬制と捉えることで、暫定的な基礎付けを確保すると同時に、その基礎付けをつねに論争に開いたものにしておくために、アゴニズムの民主主義によって多元性を担保するということだ。これにより、最小限の基礎付けを確保すると同時に、その暫定的な性格も同時に保持することができる。 また、これまで継続してきた研究会の成果として、2019年4月に共編著『政治において正しいとはどういうことか:ポスト基礎付け主義と規範の行方』(勁草書房)を刊行することができた。 さらに、12月にはドイツのテュービンゲン大学から隠岐理貴氏を招聘し、また討論者として千葉大学の金慧氏、立命館大学の百木漠氏に登壇いただき、最新のカント研究に関する研究会・講演会を実施することができた。多くの聴衆にお集まりいただき、たいへん有意義な研究会となったことを報告しておきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究会の成果を刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は残された課題を検討していく。また本研究課題とかかわる成果を単著としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
計画書段階より、海外への渡航計画に変更が生じたため。次年度に海外出張や国際会議への出席に使用予定。
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