2020 Fiscal Year Annual Research Report
Russia's Authoritarianism after the Ukrainian Crisis
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17K13681
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
溝口 修平 法政大学, 法学部, 教授 (20648894)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 権威主義 / ロシア / 正統性 / 憲法改正 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、第一に2020年1月に始まったロシアの憲法改正に関する分析を行った。この憲法改正はプーチン大統領の任期延長を可能にしただけではなく、ロシアの政治体制をより保守的で、愛国主義的方向に推し進めたという意味で画期的なものとなった。研究成果としてはまず、改正憲法の翻訳を行い、その内容面での特徴を明らかにした。それとともに、憲法改正の手続き面にも着目して、今回の憲法改正がはらむ矛盾を明らかにした。さらに、これらの点と関連して、旧ソ連諸国をはじめとする多くの国で起きている大統領の任期延長について、そのような試みの成否を決定する要因を理論的に検討する論文も執筆した。 第二に、ロシアの世論調査機関が行った調査結果を利用して、プーチン大統領を支持している人の属性が時系列でいかに変化してきたかを明らかにした。この研究は当初は2020年8月に行われる国際学会で報告予定であったが、学会開催が延期となったため2021年8月に報告する予定である。 研究期間全体を通じて、以下の2つの点で研究成果を上げることができた。第一に、ウクライナ危機を経てより磐石になったかに見えるプーチン体制は、その支持基盤に変化をきたしており、脆弱性を内包しているということ、第二に権威主義体制の強化にとって憲法改正は有用な手段となるものの、政治制度の恣意的な変更に対する反発を招きかねないということである。研究期間中に期せずしてロシアで大規模な憲法改正が行われたことは、この後者の成果を裏付けるものとなった。
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Research Products
(5 results)