2019 Fiscal Year Research-status Report
同盟と戦略の理論分析―ベトナム撤退期の米戦略転換と日米・米比・米タイ・米韓同盟
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17K13683
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
玉置 敦彦 中央大学, 法学部, 准教授 (50772480)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 同盟 / アメリカ / 国際秩序 / アジア太平洋 / 戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、2017年度には、アメリカを中心に、その戦略と秩序構想についての基礎的な検討作業を行った。また2018年度には、通時的な比較を行うことで、1970年代の時代状況を理解することに努めた。 これに対して、2019年度は、大きく3つの点について、研究を進めた。第一に、2017年度及び2018年度の成果を積極的に発表し、フィードバックを得ることである。特に研究会・学会での研究報告を行った結果、多くのコメントを得ることができ、これまでの議論に適切な修正を加えることができたものと考えている。 第二に、1970年代の東アジアにおけるアメリカの同盟ネットワークの実態の解明を進めることができた。とりわけ、教育との相互作用の中で本作業を進めることができたため、基礎的な確認作業は順調に進んでいる。この点についても、基礎的な考え方を研究会で報告し、有益なコメントを得ることができた。また日本外交の検討を通じて、一定の成果を文章としてまとめた。 第三に、 アメリカのアジアにおける同盟ネットワークの実態を、いかに理論的な広がりの中に位置付けるのか、検討を行った。これについては、年度末に国際学会での報告を予定していたが、COVID-19の影響によって断念せざるを得なくなった。2020年度の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の進捗状況は、概ね順調である。「研究実績の概要」で詳述したように、2017年度及び2018年度の成果を着実に発表することができた。また2019年度に新たに取り組むべき課題についても一定の進捗を見ることができ、かつすでに研究報告・文章という形で報告することができたからである。 他方で、研究機関の異動に伴い、研究環境の整備には相当程度の時間を要していることも間違いない。現所属機関には十分な研究環境が整っているが、本研究計画のために適切な環境を整備するには、なお一定の時間が必要となる見込みである。 さらに、2020年3月に予定されていた海外での学会報告が中止になり、また史料調査も断念せざるを得なくなるなど、COVID-19の拡大は、2019年度段階でも研究の進捗に重大な影響を与えていたということも付記しなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画は、COVID-19の拡大によって大幅な見直しを余儀なくされている。本来は、海外での研究報告を積極的に進めるとともに、これまでの基礎研究の上に史料調査を頻繁に行い、実証面で研究をまとめることを予定していた。 しかしながら、少なくも2020年5月の段階では、海外における研究報告や史料調査を実施できる可能性は極めて少ないと判断せざるを得ない。このため、本研究の目標も適切に修正することが必要となろう。 すなわち、①一次史料の網羅的収集による実態解明ではなく、二次資料を基礎とする理論的・通時的な政治学的インプリケーションを重視して、研究成果をまとめることを目指し、また②比較的早期に可能となるだろう国内の学会・研究会での成果報告をまずは重視し、そのフィードバックを研究に反映することを目標としたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の拡大により、2月半ばから3月に集中的かつ長期間に予定していた史料調査と、海外での学会報告を断念せざるを得なかったことが最大の要因である。すでに年度末であり、旅費として考慮していた出費を他の項目に振り分けることはできなかったため、使用差額が生じた。2020年度は、旅費が利用できないとの前提に立って、文献や電子資料の購入、分析のための機器などに利用することで、研究の効率的な進捗を図りたいと考えている。
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