2020 Fiscal Year Research-status Report
同盟と戦略の理論分析―ベトナム撤退期の米戦略転換と日米・米比・米タイ・米韓同盟
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17K13683
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
玉置 敦彦 中央大学, 法学部, 准教授 (50772480)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 同盟 / アメリカ / 国際秩序 / アジア太平洋 / 戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は極めて難しい一年となった。何よりも、当初の計画では、2019年度末から2020年度にかけて集中的に実施する予定であったアメリカにおける史料調査が、COVID-19によって不可能となってしまった。これに伴い、2020年度は、二次文献と公開資料による対象を拡大した調査と、理論的な検討の深化を進めてきた。 しかしながら、COVID-19への対応に起因する研究の遅れは如何ともかんともしがたいところがあり、当初予定より一年間の研究期間の延長を行うこととなった。2021年度には研究成果をまとめることに注力したい。 今年度の成果は、以下のとおりである。 第一に、これまでの研究成果をまとめるのみならず、新たな事例に対象を拡大することに成功し、またこれを研究成果としてまとめることができた。これは編著の一章として発表される予定であり、すでに原稿を提出した段階にある。2021年度の成果としては確実に登録できる見込みといえる。 第二に、学内の発表媒体を利用することで、研究成果の一部を二つの文章にまとめることができた。一つは国際政治学の原論と関連させたものであり、もう一つは、ベトナム戦争をめぐる同盟政治についての全体像を俯瞰した文章である。 第三に、オンラインによる国際学会関連の研究会に登壇し、本研究の成果をふまえた報告を行うことができた。こちらはより理論的観点からの発信ではあるが、有益なフィードバックを受けることができたものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の進捗状況は、「研究実績の概要」にも記した通り、COVID-19に伴う各種の影響により、予定よりも遅れることとなった。したがって2021年度までの延長申請を行い、これが認められた。 他方で、前述のように、研究成果としては、本研究の外堀を埋める文章を二本執筆することができ、また戦略と同盟の関係についての枠組みを記した編著の一章の原稿も完成し、国際的な研究会でも成果の一部を報告できたので、なお一定の進捗はあったといってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、COVID-19の最中にあっても、本研究を進めることができた。とはいえ、2019年度後半から2020年度にかけては史料調査の実施を予定してたため、これを予定通り遂行することは困難となったことも確かである。したがって、史料に基づく外交史的な実証というよりも、理論的な枠組みの構築を重視しする方針へと転換することを予定している。 2021年度も、引き続き今後の社会状況の展開が極めて不透明であるため、①まずはすでに提出し、校正を待つ段階となっている原稿を確実に発表することとしたい。また、別途、研究成果を出版できることが決まっているため、②これまでの研究成果を着実に原稿とし、今年度中に結果を出したい。③さらに、国内外の研究会やシンポジウムでの報告や討論をつとめることにもなっているため、この機会に、本研究の成果を還元したコメントや議論を提起し、積極的に成果の発信とフィードバックの蓄積を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19によって、予定していた史料調査等を実施することができなかった。昨年度に練り直した研究の方針に基づき、今年度は史料館調査以外の方法を重視して、研究を進めることを予定している。
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