2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive Study on Franklin Roosevelt's Vision of Making China a Great Power
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17K13687
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 慶吉 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (60456928)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国 / 大国化 / ローズヴェルト |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から行ってきたローズヴェルト米大統領の中国大国化構想に関する研究をもとに、2018年9月、大阪大学政治史研究会において、「F. D. ローズヴェルトの戦後アジア構想―中国大国化の条件」と題した研究発表を行った。また、同じタイトルの論文の執筆にも当たった。その論文は、2019年刊行予定の瀧口剛編『近現代東アジアの地域秩序と日本』(大阪大学出版会)に収録されることになっている。 副題にあるように、これら研究発表、論文で明らかにしたのは中国大国化の条件である。従来、ローズヴェルトの中国大国化構想に条件があるということはほとんど考えられてこなかった。だが、ローズヴェルトが無条件に、中国に対して「大国」という国際政治上の特別な地位を与えようとしていたわけではない。上記の研究発表、論文では中国大国化構想と1930年代の西半球政策(善隣外交)との関係を解明することで、中国大国化の条件を明らかにした。その条件を具体的に記すと次の3つとなる。(1)国家統一(国民党と共産党の対立関係の解消)、(2)アメリカのアジア・プレゼンスを認めること、(3)善隣外交の実践。 これら条件を明らかにすることで、中国大国化構想が戦後破綻した理由や名実ともに大国となった現在の中国に対するアメリカの政策を考慮する上での重要な示唆を得られたと考えている。なお、中国大国化構想に関するより包括的な研究成果は現在執筆中の単著に反映させる予定である。
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