2017 Fiscal Year Research-status Report
日韓安全保障協力の形成メカニズム:非西洋型国際関係理論の理論的・実証的研究
Project/Area Number |
17K13689
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
冨樫 あゆみ 九州大学, 韓国研究センター, 特任助教 (50783966)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 安全保障 / 国際関係理論 / 日韓関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度となる平成29年度は、(1)1990年および2000年代における日本と韓国の安全保障政策決定過程を新古典現実主義の視点から分析し、(2)1980年代の日韓関係(中曽根政権下での対韓経済援助)に関して調査を行った。特に、平成29年度は理論研究に集中的に取り組んだ。日韓が安全保障協力を開始した1990年代と比較し、冷戦下での日韓安全保障関係について研究を行った。 (1)に関しては、主に自民党第1次安倍政権から民主党政権そして自民党政権への2度に渡る内閣交代という日本の国内政治の過渡期を対象として日韓安全保障政策を分析した論文を発表した。また、本研究課題のベースとなった研究代表者(冨樫)の博士論文を日本語へ翻訳し、本研究課題における冷戦下での日韓安全保障関係について補完した著書「日韓安全保障協力の検証ー冷戦以降の『脅威』をめぐる力学」を平成29年7月に出版した。(2)に関しては、平成29年度では対韓円借款決定の背景を探る過程において、当初の計画に加えて1980年代初頭の中朝関視点が重要となることが分かり、研究を進めている。当初の研究計画では、研究代表者(冨樫)をはじめとして、研究協力者には中朝関係の専門家が含まれていなかったため、平成30年度以降は、国内外の中朝関係専門家もしくは冷戦期の中国専門家などとの意見交換を積極的に行い、包括的な視点から研究課題に取り組んで行きたい。 平成30年度以降は、研究実施計画においては本来であれば初年度に行う予定であった資料研究に取り組んで行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、初年度資料研究を行う予定であったが、資料調査がスムーズに行えないなどのトラブルがあった。一方で、本研究の第2段階でもある理論研究は比較的順調に進んでいる。理論研究は資料調査に比べて時間がかかるため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画としては、初年度に滞っていた資料研究を進めていくと同時に、平成30年度に計画されていた理論研究も行う。また、12月ごろには国内外の研究協力者とセミナーを開催し、研究に対する完成度を高めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
当初物品費として計上したデスクトップパソコンはノートパソコンへと変更し、プリンターの購入を検討していたため、今年度購入する予定である。その他、資料調査を目的とした出張および、アメリカへの学会報告が次年度へ、および韓国や国内へと変更となったため、初年度の使用率が低かったものを思われる。これらについては、平成30年度中に実施する計画である。
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Research Products
(4 results)