2017 Fiscal Year Research-status Report
対テロ政策の影響評価:周辺構造モデルを用いた「繰り返し」標的攻撃の実証分析
Project/Area Number |
17K13692
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
冨永 靖敬 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (40779188)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | テロリズム / 対テロ戦略 / 計量政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、テロ組織の首謀者を対象とした「繰り返し」の標的攻撃が、組織の活動に及ぼす影響を定量的に評価するとともに、組織ごとに異なる影響の理論的解明を行うことを目的とした。本目的の実行のため、既存のテロリズムデータを用い、(1)継続的な標的攻撃が組織の活動・存続に与える影響を資源動員・組織構造の観点から検討し仮説を構築、(2)「繰り返し」処置の代表的な推定方法である周辺構造モデルを用いた実証分析、を行う。
平成29年度は、上記(1)、(2)の課題において十分な進展を得た。まず、「繰り返し」標的攻撃の理論的説明に関して、初期の繰り返し攻撃は組織の士気を高める一方で、継続的な標的攻撃を行うことで政府による能力と意図を効果的にシグナリングし、結果的に組織の生存確率は低下することを議論した。本仮説について、研究計画通り周辺構造モデルを用いた統計的推定を行い、上記仮説について十分な支持を得た。本研究結果は、International Studies Association Hong Kong、American Political Science Association、ISA ISSS-ISACの各国際学会に研究発表を行った。当初の予定より早く計画が進んでいるため、計画よりも前倒しで各国際学会にて発表を行った(したがって、研究費の前倒し申請を行った)。また、各学会で各国研究者から得た助言をもとに執筆した論文が、現在インパクト・ファクター付きの国際誌にて「条件付き受理」の結果を得ている。
上記の課題の他、標的攻撃が与える影響の組織間の相違をさらに理論的に説明し、実証する論文を別の論文として執筆中であり、平成29年度に既にISA Midwestで研究発表を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に当初の研究計画の大部分を達成しており、その結果は(査読付)国際学会(International Studies Association Hong Kong、American Political Science Association、ISA ISSS-ISAC、International Studies Association Mid-west)にて発表済みである。また、本課題にて執筆した論文のうちの一本は、既にインパクト・ファクター付きの国際誌にて「条件付き受理」の結果を得ている。以上の点で、本研究課題は当初の研究計画以上に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は、(1)現在「条件付き受理」の結果を得ている論文を本年度中に当該雑誌に掲載すること、また、(2)本課題のもとで進めている他の論文についてさらに執筆を進め、同様に国際誌にて掲載を目指すこと、である。したがって、本研究課題について、今年度は主に残りの分析を進めると同時に、執筆活動に重点を置く予定である。その意味で研究費の主な支出項目として、分析に掛かる費用(PCハードウェア・ソフトウェア)とともに、英語論文の出版に掛かる費用(英語校閲費用や掲載費用)を検討している。
|
Research Products
(4 results)