2020 Fiscal Year Research-status Report
Policy Substitution between Coercive and Noncoercive Diplomacy
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17K13694
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
広瀬 健太郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 講師(任期付) (90764738)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外交 / 戦争 / パワーの分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際政治学、特に軍事紛争研究において、国家のパワーは強制力、そしてそれに対抗する抑止・防衛力の源泉として捉えられてきた。既存研究は、この伝統的な『パワー=強制力』モデルに従い、国家の相対的なパワーが増大すると当該国家が武力の脅しや使用を伴う強制外交を使用する確率は単調的に増加すると理論的・実証的に主張する。しかし、この見解には問題がある。なぜなら、伝統的な紛争モデルは、パワーの大きさが強制外交(ムチ)だけでなく非強制外交(アメ)の有効性にも影響を与える可能性を捨象しているからである。国家のパワーは、相手の行動をコントロールする能力としてしばしば定義され、それは主に戦争遂行に必要な軍事的・経済的資源の大きさによって測定される。したがって、強い国、すなわち軍事的・経済的資源を多くもつ国は、相手国の行動を強制的にコントロールできるだけでなく、その資源を安全保障や経済援助として他国に供与することで相手国の政策を非強制的な形で買収することもできるはずである。伝統的な『パワー=強制力』モデルの問題は、国家のパワーが非強制的な形で使用される可能性、つまり他国から譲歩を引き出す手段としてパワーの源泉となる資源を等価交換として与える可能性を予め排除する点にある。本研究は、パワーに内在する強制的・非強制的な側面を同時に考慮した外交理論を構築し、相対的なパワーの大きさが強制外交および非強制外交の選択にどう影響を与えるかを計量的なデータを使って実証する。具体的には、同盟や経済援助といった領域において、どの国がどの国に対していつ非強制外交を行ったかに関するデータを新しく収集し、強制外交が非強制外交によって代替される因果メカニズムを明らかにすることが本研究の目的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果をまとめた論文をInternational Studies Associationおよび日本国際政治学会の年次総会で発表し、貴重なフィードバックを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の様々な研究者からのコメント・アドバイスをもとに、論文をさらにブラッシュアップし、学術雑誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で学会出張の機会がなくなったため。ワクチン接種後に可能であれば、様々な学会で研究報告をするため、および英文校正費用として使用する。
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Research Products
(2 results)