2018 Fiscal Year Research-status Report
先見的なプレイヤーを想定した一般化マッチング問題の分析
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17K13696
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河崎 亮 東京工業大学, 工学院, 准教授 (20579619)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非分割財市場 / 極小性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は前年度に引き続き,非分割財市場の物々交換モデルの分析を行った.昨年度の分析では,先見的なプレイヤーを想定した場合は,コア配分の中でもパレート効率的な配分に到達する事を示したが,物々交換におけるルールの設定により結果が依存し得る事が新たに分かった.本研究結果は,先行研究より弱い概念のもとで定義されているため,プレイヤー達の間で再取引をし易くなっている状況である.しかし,複数のグループが同時に取引を行うな状況を仮定しているが,現実的には大きなグループが同時に複数に取引を行うことは,あまり多くない.マッチング問題においても,マッチングからの逸脱を考える場合は,一人の主体ないしはペア一組による組み替えを考えることが多い.しかしながら,非分割財市場におけるプレイヤーの最小単位についての明確な概念が,マッチング問題と比べ存在しない.そこで,今回の研究においては、一回のステップにおいて一グループのみが取引ができることを仮定し,一回につき再取引ができるグループの最小単位の替わりに極小性の制約を加えた.このようにルールに制限を設けた場合,どのような配分が最終的に到達され,どのような配分が安定であるかを考察した.主体の選好にある弱い仮定を課したとき,以前の結果と同様にコア内の効率的な配分が達成され得る.しかし,その仮定が満たされない場合は,同様な結果が得られるかはまだ未解決問題である.また,到達プロセスも以前の結果と比べてかなり複雑なものになっている.
より強い概念を用いている先行研究では,極小性を用いたルールの制限を課してはいないが,この様なルールの制限を設けた場合でも,先行研究の結果が変わらず成り立つ事も新たに確認した.当初の研究計画にも挙げた,ゲームにおけるルールと安定性との関連性に関する一つの答えを導くことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目において,一般化マッチング問題に関する諸結果のいくつかを導出することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として,一般化マッチング問題における安定なマッチングの集合を調べる.また,あるマッチングの安定性を担保するために必要なルールに関する条件を導く事を目的とする.即ち,どのようなマッチングが許容されるときに,既存研究で観察される結果が導出されるかを理論的に分析をしていく.また,非分割財市場をはじめ,マッチング問題やルームメイト問題などの特殊ケースについて,一般化マッチング問題の分析により得られた結果を用いて新たな発見が期待される.
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Causes of Carryover |
平成29年度分の繰越額の一部が残っているため,次年度使用額が生じた.次年度は,国際学会での発表が既に一つ決まっており,その旅費に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)