2019 Fiscal Year Research-status Report
学校選択問題における統一的戦略行動の分析:理論と実験
Project/Area Number |
17K13697
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
熊野 太郎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00700494)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マーケットデザイン / マッチング理論 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の成果は2つある。1つは統一的行動のモデル化を終えたこと。もう1つは University of Cambridge の Aytek Erdil 氏との共同論文を Journal of Economic Theory に掲載したことである。 (1)統一的行動のモデル これまで何度かのプレ実験を行った結果、学校選択問題(優先順位つきマッチング問題)では、学生と呼ばれるプレイヤーはゲーム理論が想定する均衡行動を必ずしも取らないことが明らかになった。しかしある種の規定に従う行動をとっているように見られることが観察された。これはゲーム理論が仮定する共有知が満たされないことに起因することと考えられる。これを基にして、学生の行動を、(1)支配される戦略は選択しない、(2)最悪なケースを想定し、その上でペイオフを最大化する、というように規定した。その上で、non-equilibrium 分析を行った。(1)と(2)の下で、DA アルゴリズムでは真実表明が最適行動であるという既存研究との整合性がある一方で、Boston アルゴリズムでは真実表明とは異なるが、安定マッチングを選択する行動が導出された。来年度は、この結果を実験によって確認する。 (2)共同論文の掲載 ケンブリッジ大学の Aytek Erdil 氏との共同論文である、Efficiency and stability under substitutable priorities with ties が Journal of Economic Theory に採択された。本論文では、より複雑な優先順位のある学校選択問題において、効率性と安定性についてどのような結果が得られるかを分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の主題である統一的行動の分析においては計画通りの成果が得られたことに加えて、本研究に関連する Aytek Erdil 氏との共同研究が評価の高い国際雑誌 Jounal of Economic Theory に採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
理論分析結果を検証する実験を行い、その結果を併せて、本研究結果を論文にまとめ、国際雑誌に投稿する。しかしながら、実験に際しては多数の被験者を必要とし、実験の実施はコロナ禍の収束状態に依存する。そのため、被験者を集められない場合は、実験をオンラインで行う等で対応する。
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Causes of Carryover |
実験実施を考えていたが、実験プログラムの設計と被験者を集めることが期間内にできなかったため、次年度にそれらを繰り越すことになった。
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