2020 Fiscal Year Research-status Report
学校選択問題における統一的戦略行動の分析:理論と実験
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17K13697
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
熊野 太郎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00700494)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マッチング理論 / 学校選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの理論研究の成果である慶應義塾大学の栗野盛光先生との共著論文 Quota adjustment process の研磨を様々な場所で発表、報告することで行なった。 特に、経済学における最も権威のある国際学会である Econometric society の4年に一度しか開催されない world congress において発表し世界各国の専門家から助言を得られたのは非常に大きな成果であった。 この論文では、これまでのマッチング理論におけるマッチ人数は固定であるという設定を可変として安定性と効率性を分析している。主要な結果は、マッチ人数が固定されている環境に対して、少しでもマッチ人数を可変とすることで非常に大きな厚生の改善が得られることを示したことと、そのようなマッチングにいつでも達することのできる実用可能なアルゴリズムを開発したことにある。また類似の設定を分析した既存研究の結果と比較して、このアルゴリズムは計算量の面でも優れており、常に polynomial time で計算が終了する。 この理論結果はまだ公表はできないが、ある大学における学生の配置問題に応用されることになった。よって、本研究は現実社会の改善にも貢献に与している。 一方で、上記とは別の理論研究結果に対する実験を計画していたが、コロナ禍のため実施できなかった。実験のためのプログラム、インストラクション等の準備は滞りなくなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、実験を遂行することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として、理論と実験の両方からさらなる発展を行う。 1理論研究は、上記の成果で挙げたように完成しつつある。よって今後は、国際的評価の高い専門誌への投稿を行う。また、理論結果を実践している大学からデータが得られれば統計分析も行いたいと考えている。 2実験は、コロナ禍の収束度合いによるが、もし収束しているのであれば、計画通り実験を対面で実施し、理論結果の評価を行う。一方で、収束していなかった場合は、オンラインでの実験を実施するか、実験の信頼性を確保できない場合は、シミュレーションによって評価を行い、実験の代替としたい。どちらにしても、最終年であるため、何かしらの理論の評価を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため予定していた実験の人件費、出張費がキャンセルとなったため。 次年度は、実験が実施できれば、そのために人件費、出張費を使用する。また実験が実施できない場合は、実験を模倣するシミュレーションのためのプログラム開発に人件費を使用する。
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