2021 Fiscal Year Annual Research Report
Designing public good mechanisms which is robust to heterogeneous attitudes towards uncertainty
Project/Area Number |
17K13701
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
舛田 武仁 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (80725060)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 経済実験 / 公共財 / 制度設計 / 高次リスク態度 / プロスペクト理論 / 戦略的曖昧さ / 異時点間リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
典型的な公共財供給の実験では戦略的相互依存は考慮されるものの、環境問題に代表されるように投資によって将来得られる便益自体が不確かである場合は見落とされがちである。自己予防問題とは、将来時点で損失を被るリスクを低める予防努力を現時点でとる問題である。その最適な予防努力の水準を決めるのが、プルーデンスと呼ばれる下方リスク回避度である。近年の先行研究により、損失リスクが遠い(近い)将来にあるとき、期待効用の意味でプルーデントな意思決定者はそうでない意思決定者よりも多め(少なめ)に予防努力をすることが知られている。ソウル国立大学の研究者との共同研究では、この理論予測を被験者実験で検証した。被験者のプルーデンスは極めて高く、同時にその予防努力は損失イベントのタイミングに依らず高プルーデンス条件下での期待効用モデルの予測よりも低かった。同論文では、この現象がプロスペクト理論によって統一的に説明できることを示した。この結果を集団予防や次に述べる曖昧さ下の意思決定に展開することに取り組んでいる。 2021年度は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が普及したことで、従来方式の対面実験を実施できる機運が高まった。そこで、オンラインと対面の両実施方式で経済実験ができるよう備える必要があった。そこで、インターネットブラウザ上で参加でき、かつ自由度が高いアンケートツールであるクアルトリクスを導入し、そのプログラミングと参加者インターフェイスの改善、動作検証に数か月を要した。 研究課題と関連した実験論文のうち1本がExperimental Economicsに公刊が決まった。また別の共同研究1件では、大学生参加者と一般参加者との間で不確実性に対する態度等を包括的に比較し、経済実験の外部妥当性を検証している。
|
Research Products
(5 results)