2017 Fiscal Year Research-status Report
J. S. ミルとブリテンの帝国支配：ミルは属国についてどう論じたか
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17K13711
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| Research Institution | Kyushu Sangyo University |
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Principal Investigator |
小沢 佳史 九州産業大学, 経済学部, 講師 (80772095)
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2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | J. S. ミル / 帝国 / 属国 / 植民地 / 古典派経済学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、本研究を3本の柱で進めた。第1の柱は、英国での資料調査である。具体的には、9月にBritish Library of Political and Economic Scienceへ赴いて、未刊の資料の調査を行い、その画像データを作成した。本研究は、属国に対する支配国の政策（属国政策）について、公的には明示されなかったミルの見解や、ミルが暗黙のうちに共有していた同時代人の見解も考慮に入れる。そしてそのためには、未刊の資料（ミルが受け取ったミル宛の書簡など）を収集し、分析することが不可欠である。
第2の柱は、共著の原稿の執筆である。この原稿は、個人に対する政府の強制的介入――政府が、個人の意思とは関係なく、その人に対してある行為を禁止したり強制したりすること――に焦点を絞って、属国政策に関するミルの見解を概観するものであり、本研究を進めていくうえで土台となる論考である。この原稿を執筆するために、まず11月に東京で、共著の編者や執筆者たちに対して、この原稿の構想を報告した。そこでの議論に基づいて第1稿を執筆し、それを2月末に編者へ提出した。そして3月には、編者から、最終稿へ向けてのコメントを受け取った。
第3の柱は、英語での研究報告である。具体的には、3月7日に同志社大学で開催されたKyoto Conference on Classical Political Economyにおいて、"John Stuart Mill on Britain's Dependencies"と題する報告を英語で行った。この報告は、属国政策に関するミルの見解のうちで、経済的な側面、とりわけ財政面について取り上げたものであり、英語論文を刊行するための第一歩として位置付けられる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には、資料収集を重点的に行うことが計画されていた。具体的には、夏季と冬季の2回、未刊資料の海外での調査を予定していた。しかしそのうちで、夏季の調査は実施できたが、冬季の調査は実施できなかった。その理由は、研究代表者の所属研究機関が4月に変更され、それに伴って、年度末（冬季の調査を予定していた期間）に、年度の初めには把握し切れなかった校務に従事したためである。
他方で、平成29年度には、平成30年度に計画していた研究報告を、（計画していた日本語ではなく）英語で、行うことができた。
したがって、「やや遅れている点」と「当初の計画以上に進展している点」を総合的に勘案して、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、未刊資料の海外での調査を夏季に実施する予定である。研究代表者が新しい所属研究機関での校務をおおむね把握できたため、平成29年度にやや遅れていた資料収集の点で本研究を着実に進めていきたい。
そのうえで、平成30年度およびそれ以降には、英語論文の投稿・刊行へ向けた作業を、計画に沿って本格化させていく。具体的には、(a)国内の研究会などで報告を複数回行い、(b)ディスカッション・ペーパーを作成し、(c)国際学会での英語報告を経て、(d)英語論文を国際学術雑誌ないし共著へ投稿する。そして平成30年度には、国際学会での英語報告（平成31年度）に応募するところまでを行う。
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| Causes of Carryover |
平成29年度には、未刊資料の海外での調査を2回予定していた。しかし、研究代表者の所属研究機関が4月に変更されたことに伴い、そのうちの1回の調査を実施できなかった。そしてこのために、次年度使用額が生じることになった。
研究代表者が新しい所属研究機関での校務をおおむね把握できたため、平成30年度には、未刊資料の海外での調査を夏季に実施する予定である。そして次年度使用額は、このための経費に充てられる。
そのうえで、平成30年度には、英語論文の投稿・刊行へ向けた作業を計画に沿って本格化させていく。そして平成30年度分として請求した助成金は、このための旅費や英文校正費に主として充てられる。
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| Remarks |
[1] 小沢佳史「J. S. ミルの支配論」第3回 共著構想発表会、東京大学、2017年11月18日。
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