2018 Fiscal Year Annual Research Report
The empirical analysis for the effect of Globalization of firms and information technology on income inequality
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17K13719
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
桑波田 浩之 弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (40782785)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 貿易自由化 / 所得格差 / 人的資本 / ストックオプション / 労働組合 / 情報通信技術 / 企業マイクロデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年間の研究の最終年度に当たる平成30年度においては、これまでの研究成果の論文への取りまとめと研究成果の発表に重点を置いた。本研究で当初から中心テーマの1つとして設定していたグローバル化と所得格差の関係についての論文が国内誌に掲載された。また本研究の論文を日本国際経済学会、日本経済学会、テネシー大学、メイン大学でそれぞれ研究発表を行った。発表の過程で指摘を受けた課題について検討すると共に、現在進行中の論文へも反映させた。 人文社会科学論叢に掲載された論文の"輸出が企業内所得格差へ与える影響―日本企業のデータを用いた実証分析―," 第5号, p.221-227 では、輸出企業は国内企業に比べて、企業内の所得格差が拡大していることを見出した。この結果は、輸送費用の低下に伴って、輸出企業の経営者の所得が上昇する一方、労働者の賃金が低下し、所得の二極化が進むとしたDinopoulos and Unel (2017)の研究と整合的な結果である。彼らの研究は、経営者の人的資本をグローバル化と所得格差を繋げるチャネルとして示している。その他、記述統計を中心としたデータ分析では情報通信技術は所得格差を拡大させ、労働組合は格差を縮小させる効果を持つことが確認されたが、研究初年度にデータの結合に時間を要したため、これら関係性については課題として残されている。総じて、本研究はこれまでは注目されてこなかったグローバル化と所得格差の1チャネルを明らかにする研究として評価できる。
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