2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K13723
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鶴岡 昌徳 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30756078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 繰り返しの入札 / 公共工事 / 国債 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、公共工事並びに国債の入札は競争を通じて政府に高い便益をもたらしているか否かを実証的に分析した。 公共調達はGDPの13-20%を占めている。公共工事の調達においては、政府は価格だけでなく構造物の耐久性などの品質も気にかけている。なぜなら、低品質の工事は、橋やトンネルが突然崩れてしまうという大事故につながってしまうからである。申請者の公共工事の調達の研究では、特定の企業が繰り返し入札に参加する談合が発生しやすい入札方式から競争的な入札方式へ移行したことの効果を、価格と品質の観点から分析することである。競争的な入札方式へ移行した結果、効率的な公共調達の運営が可能な地域では価格が下がるが品質の低下は生じなかった。その一方で、効率的な調達の運営が難しい地域では、競争的な入札方式の導入は価格が大きく下がる一方で品質の低下も招いてしまうという結果を得ている。 世界中で国債が大量に発行される時代になっている。アメリカなどの大きな国では一年に数百兆円の国債が発行されている。国債の発行市場が効率的であるかどうかは政府の予算制約に直接関わるので重要な問題である。しかしながら、国債の入札では、少数の大手金融機関が繰り返し入札に参加し落札するという特徴があることから談合が生じやすいのではないかということが懸念されている。本研究では、金融機関同士の競争がない国債の発行方式から競争的な入札へ移行したことの効果を分析し、国債の市場では入札は競争を通じて高い政府収入をもたらしているかを検した。分析結果としては、国債の競争促進効果は新規企業が活発に入札しているときに限られるということが分かった。また、国債の一部ないしはすべてが発行できなくなってしまうという「発行の失敗」は競争的な入札とそうでない時でその頻度は変わらないということも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、新型コロナウィルス感染拡大のため、様々な学会がキャンセルになってしまったため研究報告を広く行うことはできなかった。そのため、論文執筆を中心を行うことに専念した。論文を英文校閲に送り修正したバージョンを国際学術雑誌に投稿している段階である。国際学術雑誌のレフェリーやエディターのアドバイスに従い論文を修正することもしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も論文を国際学術雑誌に適宜送っていくことをする。また、その際にレフェリーやエディターのアドバイスに従い論文を修正していくことをする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の結果、国際学会が中止になってしまったこと。次年度は英文校閲をして論文の質を高めつつ、学術雑誌のレフェリーからのコメントに基づいて論文を修正して、国際学術雑誌に投稿を続けていく。
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Research Products
(1 results)