2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13725
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
森岡 拓郎 政策研究大学院大学, 政策研究科, 講師 (80725507)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鉄道 / 混雑 / 定量化 / mixed logit model / 大都市交通センサス |
Outline of Annual Research Achievements |
2年間の研究計画の1年目にあたる平成29年度は、大都市交通センサス個票データの整理、路線ごと・時間帯ごとの混雑率データの作成、鉄道混雑回避モデルの構築および推計を行い、分析結果の学会報告を行った。 混雑率データの作成は大都市交通センサスの20万人以上の個票にある延べ40万以上のトリップを基に、南関東の主要な路線について、各駅間の30分間隔の混雑率を算出した。 鉄道混雑回避モデルの構築においては、回避行動を、(1)有料列車に乗車する、(2)出社時刻を変更する、という2つを想定し、この2つの選択に混雑が影響を与えるという形で定式化した。また、離散選択モデルのIIA問題が出社時刻選択において生じるため、それに対処するために、早めに出社することを好むかどうかという傾向が個人にはあると仮定し、mixed logit modelとなるように定式化することで対処した。推計においては、東海道線を利用した個票を対象に、混雑回避行動モデルの推定を行った。 推計の結果、混雑の不効用は、床面積1平方メートルあたり7人(混雑率約2.5)の状態で30分乗車したときに、0円から1000円以上まで、個人により大きくばらつくという結果を得た。また、混雑以外のコントロール変数は想定通りの値を得ている。すなわち、始業時刻よりも早く出社して混雑を避けることは大きなコストを生ずること、始業時刻の早い人と通勤時間の長い人は特に、始業時刻よりも早く出社することが大きなコストを生ずること、などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
混雑率データの作成、混雑回避行動モデルの構築など、時間がかかると思われた作業を一通り終え、推計に着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、多くの人が通勤を選択した時間帯に混雑が生じるという逆の因果関係による内生性の除去、推計対象路線の拡大、混雑不効用関数の定式化をいろいろと試す、など分析の精緻化を引き続き試みる。また研究成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
英文校正を行う予定であったが、論文書きあがりが次年度に長引いてしまったため。また次年度は海外学会発表を行う予定であるため、旅費が必要である。
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