2020 Fiscal Year Research-status Report
規制緩和と貿易自由化の相互作用がマクロ経済に与える定量的インパクト
Project/Area Number |
17K13732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村尾 徹士 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (00645004)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル化 / 経済格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
(具体的内容) (1)令和元年度に進めていた動学的一般均衡モデルへの賃金決定メカニズムの導入に関する研究を引き続き行った.今年度はとりわけ,賃金決定メカニズムの違いがモデルの均衡に与える影響に関する詳細な検討に時間を割いた.(2)Covid-19の感染拡大は世界各国で大規模な外生的ショックを引き起こしたが,世界的な感染拡大自体がグローバリゼーションの産物でもある.そこで,数理疫学で感染拡大シミュレーションに用いられている SIR(Susceptible-Infected-Recovery)モデルを,本研究課題で構築しているモデルに統合するための検討を行った.
(意義・重要性) (1)本研究課題の最終的な目標は,「大規模な外生的ショックがグローバリゼーションと経済格差の関係に与える影響」が,賃金決定メカニズムの違いによってどのように異なってくるかを明らかにすることである.この点に関する課題のひとつは,賃金決定メカニズムの違いとシミュレーションに用いる構造パラメータの間に交差効果が存在していることであり,研究課題を完遂するうえでのボトルネックでもあった.(2)国境を越えたCovid-19の感染がこれほどの速度で拡大したことは,世界経済の統合すなわちグローバリゼーションが進展したことの証左でもある.この事実は,(以前であれば局地的にしか流行しなかった)ウイルスによる世界規模のパンデミックが今後も発生しうることを示唆する.また各国の消費マイクロデータを用いた研究は,Covid-19による経済ショックが所得階層に対して逆進的であった可能性を指摘している.以上の背景に鑑みると,大規模なマクロ経済ショック・グローバリゼーション・経済格差の関係を考察するための動学的一般均衡モデルにSIRモデルを組み込み,感染状況と経済状況の相互作用をシミュレートできるモデルの開発には一定の意義があると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Covid-19の感染拡大に伴う研究時間の減少により,「大規模な外生的ショックがグローバリゼーションと経済格差の関係に与える動学的影響」を解明するというこれまでの研究課題の進捗には遅れが発生してしまった.一方で,Covid-19の感染拡大と本研究課題との間の関連に関する考察が進み,SIRモデルの統合を行うという今後の研究の方向性が定まったため.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)「賃金決定メカニズムの違いがモデルの均衡に与える影響」に関する理解に基づいて,大規模なマクロ経済ショックがグローバリゼーションと経済格差に与える影響について,賃金決定メカニズムの影響を考察する.
(2)大規模なマクロ経済ショック・グローバリゼーション・経済格差の関係を考察するための動学的一般均衡モデルにSIRモデルを組み込み,感染状況と経済状況の相互作用をシミュレートできるモデルの開発を行う.
(3)上記の研究結果に関して,国内外での研究発表を行う.
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響により学会等への参加が滞り,旅費の使い残しが発生したため.次年度請求分の旅費に含めて使用することを計画している.
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