2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13735
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
土居 直史 札幌学院大学, 経済学部, 准教授 (30633945)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 航空産業 / 空港使用料 / 実証構造モデル / 経済政策 / 構造推定 / パススルー率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、空港使用料の転嫁や帰着が、その課金方法によってどのように異なるかを実証的に調べている。主な課金方法として、フライト数に応じて課される料金(着陸料など)と旅客数に応じて課される料金(旅客施設利用料など)がある。
前年度から引き続き、路線レベルの需要と供給の構造モデルに基づくシミュレーションによって、2004-2005年の日本の国管理空港における料金体系変更の効果を明らかにすることを試みた。前年度の学会発表等で得られたコメントを基に構造モデルを修正して再推定したうえで、シミュレーション分析をおこなった。 今年度は、特に、路線ごとの空港使用料の影響の違いに注目して分析した。例えば、どのような特徴を持つ路線において空港使用料の運賃への転嫁が大きくなるのか、望ましい課金方法は路線特徴に応じて変わりうるのか等を調べた。これらを明らかにすることは、空港ごとに、その特徴に応じた空港使用料体系を設定する際の一助となると考えられる。また、本研究では価格(運賃)だけではなくサービスの質(頻度)もモデル内で決まるようなシミュレーションをおこなっているが、サービスの質を外生とした場合には推定される空港使用料の影響がどのように異なりうるかも検証した。そこで得られた結果は、空港使用料の文脈に留まらず、より広い文脈(税や費用の価格への転嫁についての一連の研究)に関連している。
研究成果は、日本経済学会(兵庫県立大学)や国際学会(Econometric Society Australasian Meeting, Auckland University of Technology, New Zealand)、政策研究大学院大学や北海道大学での研究会にて発表した。また、これまでに得られた結果をまとめた論文について、投稿した英文査読誌からの改訂要求に対処する形の改訂をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、当該年度には、各路線の需要と供給の構造モデルを利用したシミュレーションによって、2004-2005年の国管理空港における料金体系変更による運賃・フライト頻度・余剰への効果を推計することを予定していた。当該年度までに、そのような分析に取り組むことができているため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に沿って、推定した構造モデルに基づく分析をさらに進める。まず、旅客数に応じた料金とフライト数に応じた料金について、社会的に最適な組み合わせを明らかにすることを目指す。また、その最適な組み合わせは、路線の特徴(運航している航空会社数や発着空港周辺人口など)にどのように依存しているかを明らかにしたい。
その後、社会的に最適な料金体系と、ほかの目的に合致するような料金体系との比較も試みる。例えば、航空会社利潤を最大にするような料金体系や、空港利潤を最大にするような料金体系との比較を行うことを予定している。それによって、航空会社の要望に沿う形の料金体系変更が社会的余剰増大につながるのか、また、空港民営化後に設定されると予想される空港利潤最大化の料金体系が社会的に最適な料金体系とどのような違いがあるのかなどを明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会での発表について別の助成(札幌学院大学学会発表旅費助成)が得られたため、次年度使用額が生じた。その利用計画としては、翌年度に別の国際学会での発表を予定している。
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Research Products
(4 results)