2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K13737
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (30633474)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 技術進歩 / 生産性 / 空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究年度では、本研究における理論的、実証的フレームワークの構築及び、推計のための準備を行うことに注力した。本研究においては、各経営体の空間的立地関係と技術進歩に関する指標との関係性を分析するために、過去の先行研究における分析手法のレビューと、現状の指標作成方法に関する情報収集を行った。具体的には過去の先行研究より、ある経営体と他の経営体との距離だけでなく、距離に加え、他の地域の経営体の技術進歩指標による重みづけにより、技術的に先進的な経営体が空間的な技術波及に与えるインパクトを考慮することが可能であり、かつ本研究課題に関しても適応可能であると考えられる方策を明らかにすることができた。 技術進歩の指標化に関しても、先行研究をレビューした結果、ノンパラメトリックな手法であるDEA(Data Envelopment Analysis)を過去の先行研究をもとに適切に利用することが望ましいと考えられた。通常の計量手法に基づく、技術進歩の代表的な指標である全要素生産性は厳密な生産性指標の推計が可能となる半面で、どの生産要素で技術進歩が発生しているのか、生産要素の代替により生産性を向上させたのか、全体の生産効率が向上したのか、各技術の使い方の変化を識別した指標の作成ができない。本研究ではDEAを応用することで、様々な生産性の指標を作成することが、よりどういった技術進歩が空間的に波及したのか、明らかにできると今回のレビューにより、想定することができた。 本年度ではこうした検証に加え、最新の実証手法や分析方法についても、国際学会等での情報収集や国内の専門家との協力関係をもとに、検証を行うことができ、分析フレームワークの改良に活かすことができる知見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状、初年度における理論的、実証的先行研究のレビュー及び、本研究課題遂行のために分析フレームワークの構築においてはおおむね予定通り、進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在、構築している分析フレームワークをもとにデータの構築作業、並びに推計作業を進める予定である。データに関しては関係する諸所に対して、申請を行うことを予定しているため、円滑に進めるように準備作業を進める。また推計作業については、現状、入手可能な企業データ等に基づき、分析モデルの作成を進め、プレ推計を行うことで、実証方法としての問題点や改良点などを考慮しつつ、本推計の準備を行うことを予定している。また途中過程において報告可能な研究成果については、関係する学会や研究会等で報告を行い、随時、各専門家からの意見を反映する形で分析の改良を進めていくことを想定している。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた分析用のコンピューター購入等を遅らせたため、予定の支出よりも少額となった。遅らせているコンピューター購入等は本年度(H30年度)に実施を予定する。
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