2017 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国におけるネットワーク構造がただ乗り行動に与える影響に関する計量経済分析
Project/Area Number |
17K13738
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋本 大地 早稲田大学, 政治経済学術院, 次席研究員(研究院助教) (30748405)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ただ乗り / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
発展途上国の農村部において、ただ乗りが経済発展に資する技術導入を停滞させている可能性がある。本研究では発展途上国の農村部にて農業従事者や零細企業を対象に経済活動に資する情報を提供するセミナーを実施し、農業従事者間ネットワークや企業間ネットワーク構造がセミナーにおけるただ乗り行動に与える影響を定量的に明らかにするものである。 そのため、申請者はベトナムの中小企業を対象に行った輸出振興セミナーへの企業の参加の意思決定が情報交換を行う仲間企業のセミナーの参加に影響を受けるかどうかランダム化実験に基づいて検証した。その結果、自社が招待されたセミナーと同じ日に仲間企業が招待されるとセミナーの参加する確率が高くなった。これは、仲間企業と同じ日にセミナーで参加することで参加することの心理的コストが下がることやお互いの絆を強めることができるなどの直接的な便益があるためと考えられる。申請者はさらにネットワーク構造が参加行動に与える影響を検証したが、ネットワーク構造が参加へ与える影響は確認されなかった。これらの結果は学会での発表を行い、国際学術誌へ投稿している。 しかしながら、仲間企業がセミナーへ参加することで自身が参加せずにどの程度情報を受け取ることができるかどうかによってただ乗りの起こりやすさが変わることが予想される。そこで本研究では、今後難易度の異なるいくつかの情報を提供するセミナーを実施して、企業間のネットワーク構造がそれらのセミナーにおける参加の意思決定に与える影響を検証することで、ネットワーク構造がただ乗りへ与える影響を検証する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画にセミナーを実施する前に実施する予定である調査を今年度実施することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度実施できなかった調査を行う。調査対象は、研究計画書ではカンボジアの農業従事者を対象とするとしたが、既に調査実績のあるベトナムでの企業を対象にする可能性も検討する。
|
Causes of Carryover |
2017年度に実施する予定であった調査が実施できなかったため、調査の予算を来年度に繰り越した。
|